燃費も操縦安定性も抜群!! プリウス19インチタイヤ 衝撃の中身

■19インチタイヤの狙いと利点

ブリヂストンタイヤには「ologic(オロジック)」の表記がある
ブリヂストンタイヤには「ologic(オロジック)」の表記がある

 ologic技術は狭幅化、大径化、それに高空気圧が3つのポイントになっています。さらに狭幅化することで、空気抵抗の低減と転がり抵抗の低減が得られます。

 走行中のタイヤの空気抵抗は意外に大きく、タイヤを細身にすることで、効果的に空気抵抗を低減することができるのです。特に近年ではクルマのハイパフォーマンス化が進んだことで、タイヤサイズもワイド化が進んでいました。

 しかし、タイヤが太くなると接地面が広がりますから、転がり抵抗が大きくなり、またウエット路面では、細身のタイヤと比べ接地面圧が低く(車重が同じ場合)なりますから、ウエット性能は不利になります。 それを解消する方法がタイヤの大径化なのです。

 タイヤを大径化してタイヤ外径を大きくすることで接地長を長くとることができます。もちろんこれにはタイヤプロファイル(断面形状)も関わってきますが、基本的にタイヤ外径が大きくなれば接地長は増えます。
※大径化で前後方向にタイヤの接地面積が増えるためにグリップが向上する。

 じつは接地長を長くとると、クルマは操縦安定性が良くなるのです。絶対的なグリップ性能は接地面積が大きく効いてきますが、操縦安定性(≒クルマの落ち着き感、安定感)に関しては接地長の拡大で補えるのです。

 またタイヤの大径化は、接地部分の変形を少なくすることになるので、転がり抵抗を低減する効果があります。これは高内圧化とも密接に関わっています。空気圧を高くすれば接地面部分のタイヤの変形が少なくなるので、大径化と合わせて転がり抵抗を少なくする効果が増すわけです。

 一般的なタイヤでも指定空気圧よりも高くすると燃費が良くなりますが、これも同様の効果があるからです。

 ただ、タイヤを細身にするとタイヤの負荷能力(≒ロードインデックス)は少なくなりますから、50→60といった具合に偏平率を低くしたり、あるいは高内圧化することでロードインデックス不足を補う必要があります。
※ロードインデックスが小さいとタイヤが耐えられる負荷が少なくなる。

 つまりタイヤを細身で外径を大きくして空気圧を高くすると、転がり抵抗が少なくなるとともに接地面積が小さくなるので燃費が良くなり、接地面圧が高くなるのでウエット性能も期待できると、いいことづくめの技術というわけなのです。

■あまり普及しなかった大径燃費タイヤ

技術の進化によって19インチタイヤはプリウスの燃費と走りを高いレベルでバランスさせている
技術の進化によって19インチタイヤはプリウスの燃費と走りを高いレベルでバランスさせている

 ただ、ologicが発表されてから約10年経過しましたが、その技術的なメリットから考えるほどには普及しませんでした。その決定的な理由があります。それはコストです。

 タイヤを細身にし、かつある程度タイヤに厚みを持たせる必要があることから、車重や重心高などクルマのディメンションとのマッチングが重要になってくるのです。

 単に細身大径のタイヤに付け替えるだけでは、燃費とウエットブレーキを向上させつつ、操縦安定性を確保するのは難しいのです。量産に向かないタイヤということです。専用設計かそれに近い作りにしないと最適値は引き出せないということなのです。

 プリウスのタイヤサイズは195/50R19です。ちなみにi3(初期型)のタイヤサイズ(19インチ)は前155/70R19、後175/60R19でした。プリウス用とi3用を比較してみると、プリウス用はタイヤが太くなり偏平率も高くなっています。

 タイヤを太くした理由は汎用性の向上ではないかと思います。ologicの問題点は、セッティングの幅が狭く量産に向かないことでした。

 けれどもタイヤサイズを太くし、偏平率を高めることでタイヤの横剛性及びねじり剛性を高くなりタイヤの変形量を少なくできたことで、セッティングのシビアさを解消することができたのではないかと思います。

 それが可能になった理由は、この10年である程度のタイヤ幅を確保したままでもタイヤの転がり抵抗を低くすることができるようになったことが挙げられます。

次ページは : ■195/50R19サイズが実現する燃費と操縦安定性

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