■レクサス兼務でGRプレジデントにも就任!
もっと「あらま!」だったのが、半年少々でGRのプレジデント兼任になったこと。GRのプレジデントは豊田章男さんの分身みたいなもの。こらもう社会人としちゃ厳し過ぎる修行だと思う。
おそらく普通の人からすれば、信じられないくらいのプレッシャーでしょう。参考までに書いておくと、モリゾウさんを尊敬しつつつも、近寄らないトヨタ社員は少なくない。
自分に置き換えてみたらよ~くわかると思う。社長から「これをやってね」と頼まれたら、時間軸や内容的にトヨタ社内で容認されないことだってやらざるを得まい。強引にやろうとすれば「社長の威を借りている!」と叩かれてしまう。
活性の低い社長なら何とかなるものの、暴れん坊将軍に近いモリゾウさんとなれば、次から次へと高い高いハードルがやってくる。
■佐藤氏の手腕で水素エンジン搭載車を章男社長に試乗させた!
豊田章男ウォッチャーからすれば「これは厳しい。続かないかな?」。GRのプレジデントになって半年くらいした2021年3月頃、水素エンジン搭載の車両でレースに出るという話を聞く。なんでも佐藤さんが引っ張ってきた技術という。佐藤さん、技術者から水素エンジンの話を聞き、試乗できるように仕立ててモリゾウさんに乗せたのだった。その後の流れはご存じのとおり。
この時点で「モリゾウさんに振り回されるばかりじゃなく、新しい提案もできるのが凄い!」。モリゾウさんの側近になると、相当に能力あってもイエスマン化してしまう。それくらい忙しいです。
このあたりからモリゾウさんも「なかなかやるな!」と考えたんじゃなかろうか。以後の動きを見ていると、師匠と弟子のような関係。モリゾウさん、いろんなことを教えているように感じた。
例えば、メディア対応。やっぱり社長の顔は見えたほうがいい。トヨタ以外を見ると、いるかいないのかわからない状況。佐藤さんはモリゾウさんを見ていて、とても丁寧かつ上手。メディアから逃げないです。
クルマ好きとしても世界一の自動車メーカーを率いる社長としちゃダントツだ。最近は80スープラに続き、AE86カローラレビンを購入し、嬉々としてレストアをしています。
■前田昌彦副社長と中嶋裕樹プレジデントもキーパーソン?
さて。甘いことばかり書いていると私らしくない。さまざまな情報を。直近で佐藤さんの対抗馬と目されていたのが前田昌彦副社長である。前田さんは2022年4月からトヨタ車すべての開発責任者という大役。
佐藤さんと同じ年齢(53歳)ながら副社長に抜擢されていた。あまりに早い昇進のため次期社長だと考えられていたワケです。前田さん、モリゾウさんと少し距離を取っている。
前述のとおり、佐藤さんはモリゾウさんの弟子のような状況。モリゾウさんも常々言うとおり、トヨタ社内で社長に反発する人も少なくない。そういった人からすれば前田さんは新鮮に見えるのだろう。
そして前田さんもナイスガイです。もう2~3年後の社長交代なら前田さんの可能性、高かったと思う。佐藤さんと違う持ち味の前田さんが佐藤さんをバックアップしてくれたら鬼に金棒です。
もうひとりのキーマンが「ジャイアン」(笑)と呼ばれているミッドサイズとCVのプレジデントである中嶋裕樹さん(60歳)だ。RAV4やカムリ、さらに商用車など中嶋さんの担当している車種だけでトヨタの半分以上の収益を得ている。
中嶋さんも社内で人気があるし、私から見てもいい仕事をしています。中嶋さんが今までどおり大暴れしつつ、ジャイアンの後継者を育ててくれたらトヨタは当面強いと思う。
【画像ギャラリー】トヨタ新社長の佐藤恒治氏はかなりのクルマ好き! ますますトヨタから「楽しいクルマ」が誕生する?(9枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方旧車のカーボンニュートラル化の取組は素晴らしい。
マツダもレストアを事業化しているので、メーカー横断で組織化できたら面白い。
間違いなく最強の布陣だと思っていましたが、記事で太鼓判をおされて一層安心、というかむしろ期待でいっぱいになりました。
何か問題が起こるとしたらこの布陣がそれぞれ派閥巻き込んで仲違いした場合ですが、今のトヨタならそれすら成長に繋げそうな恐ろしさがあります