タイヤの選択は悩みどころ……首都圏ユーザーの冬は「オールシーズンタイヤ」で本当に充分なのか?

■オールシーズンタイヤが活きるシーン

都心ではここまで積もることはめったにないが、それだけに夏タイヤで走って結局スタックしてしまうユーザーを見かけるのも事実だ(Paylessimages@AdobeStoc)
都心ではここまで積もることはめったにないが、それだけに夏タイヤで走って結局スタックしてしまうユーザーを見かけるのも事実だ(Paylessimages@AdobeStoc)

 で、都心ではオールシーズンタイヤで充分なのか?

 まずは下の表を見てください。私がさまざまな車種や状況、タイヤで試乗テストしてきたなかでの性能イメージです。

筆者がこれまでのタイヤ試乗テストで知見を重ねてきたなかでの各タイヤの性能表(表:ハル中田作成)
筆者がこれまでのタイヤ試乗テストで知見を重ねてきたなかでの各タイヤの性能表(表:ハル中田作成)

 各々のカテゴリーでも銘柄により性能に幅がありますが、オールシーズンタイヤはより多くの状況に対応できることがわかります。どこにもバツがない。

 確かに、雪国ユーザーや雪氷路を日常的に走る機会があるならば迷うことなくスタッドレスタイヤを買うべきです。毎週末に雪国へスキーに行くような人もスタッドレスでいいでしょう。

 しかし、都心在住で雪道へ積極的に行かないユーザーはどうでしょう?

「それでもいざという時に安心のスタッドレスにするべき」という声も聞かれますが、それは夏性能、特にウェット性能をリスクにかけていることを忘れてはなりません。降るかすらわからない雪に備えて、より多く遭遇する雨での安全性を犠牲にするのが正解でしょうか?

 私はやはり、首都圏の一般ユーザーならばオールシーズンタイヤが適していると強く感じます。私なら夏はサマータイヤ、冬はオールシーズンタイヤにします。もちろんオールシーズンのみで1年中でももちろんOK!

■では実際にオールシーズンタイヤで雪道を走ると?

こちらはスタッドレスタイヤ。オールシーズンタイヤに比べるとウェット性能に差があると筆者は指摘する(naka@AdobeStoc)
こちらはスタッドレスタイヤ。オールシーズンタイヤに比べるとウェット性能に差があると筆者は指摘する(naka@AdobeStoc)

 これがもう、普通に走れます。例として軽い寒波が来ている時の首都圏近郊のアクセスのいいスキー場へ行くようなシーンで考えてみましょう。

 まずは高速道路。夏性能が高いので乗り心地は快適で、首都高のカーブが続く区間も腰砕けでフワフワになりがちなスタッドレスとは違い、スイスイ快適に走っていけます。

 山に近づき雨になったとしても、ウェット性能が高いのでガンガン走れます。最近のスタッドレスにありがちな水でちょっと浮いてしまうようなこともなく、安心安全に走れます。

 山の麓から上り始めでシャーベットになってきたら、オールシーズンタイヤは排水性、排シャーベット性も高いので浮いてしまうことも少なく普通に走れます。

 スキー場に近づき路面が雪になってきても、最新のスタッドレスに比べるとちょっと弱いですが普通に走る分には問題ありません。上り坂や下り坂はいつもより少し慎重に運転すればOK。

 ゲレンデに着いて一日滑った帰り道。夕方になると路面に溶け残った雪や水が凍ってくることがあります。しかし、今のオールシーズンタイヤは氷性能もかなり上げてきているので、慎重に運転すればそのまま下れます。

 ただし、「夏タイヤがベース」という旨を明記しているオールシーズンタイヤの場合はやはり氷は苦手です。そうしたタイヤはあくまで冬性能は緊急避難程度に考えておいたほうがいいです。

 総じた印象として、国産メーカーは冬寄り、欧米メーカーは中道から夏寄りの印象です。個別銘柄はここでは明記できないのでゴメンナサイ。より詳しい見分け方を知りたい方は「果たして夏と冬のどっち寄りなのか? オールシーズンタイヤの今を現役プロドライバーが指南する!!」で検索!

 このように、首都圏から日帰りで行けるような範囲のスキー場に行くならばオールシーズンタイヤでまったく問題ありません。特に近年は除雪技術も進み、ゲレンデまでの路面に雪がなくてガックリすることすらも有ります。

 さらにオールシーズンタイヤはシャーベットにも強いですから、雪国でも例えば日本海側の北陸地方で標高が高くないところ、雪は多いけどすぐに溶けてシャーベットになってしまうような地域でもオールシーズンタイヤはいい選択になります。

次ページは : ■首都圏から遠方で山岳リゾートへ行く場合はスタッドレスタイヤが望ましい

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