トヨタの“本気革命”はここから始まっていた! レクサスIS Fの魅力と知られざる真実

■気合いの入ったサーキット仕様の装備群

当時のレクサスのデザインフィロソフィ「L-finesse(エル・フィネス)」をベースに、ダイナミックさとシンプルさを併せ持つデザインを実現
当時のレクサスのデザインフィロソフィ「L-finesse(エル・フィネス)」をベースに、ダイナミックさとシンプルさを併せ持つデザインを実現

 IS Fは、ルックスも最高だった。ボディサイズは、全長×全幅×全高=4660(+85)×1815(+20)×1415(-15)mm。カッコ内はスタンダードなIS比である。エアインテークを広くとって大型化したフロントバンパー、大排気量エンジンを示唆する盛り上がったボンネット。フロントフェンダー後部にはエアアウトレットが設けられ、サイドスカートが付き、リアにはこれまた専用にデザインされたリアパンパー。極めつけは、八の字型になった4本出しのマフラーエンドだった。

 IS Fに搭載された5.0L V8「2UR-GSE」エンジンは、423ps/6600rpmの最高出力、51.5kgm/5200rpmの最大トルクを発生する。4カム4バルブのヘッドはヤマハが開発を手がけた。カムを下から支えるハウジングとシリンダーヘッドが一体化構造となり、剛性が増しているのである。吸気側には可変バルブタイミング機構が搭載され、通常のプライマリーポートに加え、3600rpm以上で開くセカンダリーポートが加えられている。

 IS Fで特徴的なのは、ガチでサーキット走行を想定していることだ。コーナリング時の横Gに対応するため、オイルの潤滑はスカベンジングポンプを使って強制的に行われ、燃料タンクは、片寄を抑えるためサブタンク構造。水冷式のオイルクーラーも装備されている。

 トランスミッションは、LS460用の8段ATを、IS F用にモディファイしたもの。トルコンが働くのは1速だけで、2速より上は常にロックアップ機構により直結される。こちらもスポーツ走行時の対策として、空冷式のATFクーラーが備わっている。

 ブレーキも気合が入っていた。トヨタ初採用のブレンボ製ブレーキシステムは、大径ドリルドローター、フロントに対向6ポット・リアに対向2ポットのアルミモノブロックキャリパーを採用していた。強力なエンジン出力に対応し、ストッピングパワーもしっかり強化されていたのである。

 ただ、それでもレーシングドライバーからは「トラクションが足りない」との不満が出た。そこでトヨタは、2010年モデルからトルセンLSDを採用。解決を図った。実際にIS Fでサーキットを攻める人なんてほとんどいなかったのでは? と思われるが、そんなことは問題ではない。すべては、トヨタが本気ブランドへ脱皮するために必要な措置だったのだ。

 これだけ気合の入ったクルマにもかかわらず、当時の日本ではまったく熱狂は巻き起こらず、販売は低調だった。現在はIS500がこれほどの大人気になっているというのに。IS Fは、中古車相場も決して高くない。現在の平均相場が約270万円。発売時の新車価格766万円を考えると、ごく普通のモデルに近い下落ぶりだ。つまり、ものすごくお買い得ということでもある。

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