■日本国内での車両火災はどのくらいなのか? 主な火災原因とは?
日本国内で把握されているだけで、およそ年間3600件の車両火災が起こっている。つまり単純計算で1日10台のクルマが燃えているのだ。
クルマは燃えにくく作られているが、一度燃え出してしまうと、消し止めるのは難しい。それもクルマの複雑な構造が様々に影響するからで、クルマによって、また状況によって火災となる原因も変わるのだ。
燃えにくく作られていることは、車両火災による死者数からも、窺いうかがい知ることができる。令和4年の消防白書によれば、令和3年中は3512件の車両火災があったが、それによって亡くなられたのは71名にとどまる。つまりほとんどは本格的に燃える前にクルマから脱出出来ているのである。
クルマが燃えた一番の原因はマフラーなど排気系が原因となっている。古いクルマは燃料漏れやオイル漏れが起こりやすく、それが排気系に触れることで火災となることも珍しくない。
次いで多いのは、電気系統で配線や電装品が原因の出火。さらに電気機器や配線器具などの外部装置も含めれば、排気系よりも多くなるほどだ。
エンジン本体が出火元というのは100件ほどしかない。そのほかの原因や原因不明というのも3分の1程度を占めるが、エンジンが原因の車両火災は少ないのだ。
つまりクルマの火災は衝突事故によるものでなければ、電気が原因で燃えることが最も多いのである。
■経年劣化が原因? クルマの種類によっても出火の原因は異なる
古いクルマは構造上の問題と、経年劣化により出火する可能性は増える。燃料供給装置にキャブレターを採用しているクルマは、吹き返し(吸気ポートに起こる脈動でエアクリーナー側に吸入空気が押し戻されること)によってバックファイヤー(逆火のことで、マフラーから出るアフターファイヤーとは異なる)が起こり、火災につながるケースもある。
ワイヤーハーネスの被覆が劣化して銅線が酸化してしまうことや、スイッチ類の接点やボディの導通性が低下することで抵抗が増えて発熱するようになり、やがて発火するのである。
内装の表面に難燃性素材を用いても、車体の内部電装系の過熱による出火は、周囲に樹脂パーツや被覆があるので燃え広がりやすい。これが電装系が出火原因で車両火災となる代表的なケースだ。
クルマの使用年数が伸びていることから、こうした車体の劣化による火災は、今後も一定数起こり続けるだろう。
またスーパーカーは燃えやすいという巷の噂うわさもある。これはある程度年数を経た車体も含めれば、確かに頷けるうなずける話だ。
それはスーパーカーの多くは複雑な燃料系統と広いエンジンルームをもち、燃料漏れのリスクが高い傾向にあるからだ。経年劣化により燃料漏れがあれば、火災につながりやすい。
■バッテリーにある大きなリスクとは? 電気が原因の車両火災はこれから増えるのか?
EVやハイブリッド車は、エンジン車と比べると扱う電圧や電流が桁違いに大きいので、安全対策を施していても、火災のリスクはある。
それでもハイブリッド車は200V程度の電圧でまだ控えめな方だが、EVはバッテリーの電圧でも400Vは普通で、最近では800Vにまで高めたモデルも登場している。
車体や充電器が新しいうちはいいが、経年劣化により急速充電での高電圧、大電流によるリスクは高まる可能性がある。
EVの要であるバッテリーはエネルギー密度を高めることが求められているけれど、エネルギー密度を高める、ということは発熱や発火の危険性も高まるという諸刃の剣でもあるのだ。技術や安全対策でカバーできているけれど、経年劣化によるトラブルは完全には防げない。
リチウムイオンバッテリーは、電解質に有機溶剤を用いてることもあって、一度火が付けば消し止めるのは非常に困難だ。その点ではニッケル水素バッテリーの方が安全性が高い。
最近はリン酸鉄リチウムバッテリーが採用され始め、より安全性が高まってはいるが、エネルギー密度が高いバッテリーというのは、それだけたくさんの電気を溜め込んでいるので、何か問題が起これば車両火災につながりやすい。
EVの普及が急速に進んでいる中国では、車体やバッテリー、充電器の品質にも問題があるのだろうが、充電中や駐車中に出火してクルマが燃えることが珍しくない。中国緊急管理省のデータによれば、2022年は前年に比べ32%もEVの火災事故が増えており、年間では1万台、およそ1日に7台のEVが燃えているらしい。
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