ついにスズキまでもがEV戦略に舵を切ってきた!! 2023年1月に発表された「2030年に向けた成長戦略」。2030年度までに6モデルのBEVを投入! また巨額の資金を電動化に向けた開発に投資するとのことだ。
※本稿は2023年2月のものです
文/佃義夫、鈴木直也、写真/SUZUKI、ベストカー編集部、AdobeStock
初出:『ベストカー』2023年3月26日号
■注目に値するスズキの意欲的な経営戦略
スズキは、2030年度に向けた成長戦略を発表した。その骨子は、同社の主要事業地域である日本、インド、欧州を核にカーボンニュートラル社会を実現していくこと、そしてインド、ASEAN、アフリカなどの新興国の経済に貢献していくというものだ。
具体的には、スズキの2030年度までの電動化戦略のロードマップを公表したもので、特にBEV(バッテリーEV)の投入計画を初めてこの成長戦略で明らかにしたのがポイントといえる。
そのBEV戦略と計画は、まず日本では2023年度中に軽商用BEVを投入するのを皮切りに、小型SUV&軽乗用のBEV投入を予定。2030年度までに6モデルのBEVを投入する。また、軽・小型車向けに新型ハイブリッドシステムを開発し、BEVと併用することでユーザーに多くの選択肢を提供する見通しである。
欧州では2024年度からBEVを投入し、これをSUV・Bセグメントなどに広げていき、2030年度までに5モデルのBEVを投入する計画だ。
インドでは、すでに「オートエキスポ2023(インドモーターショー)」で発表したBEVを2024年度に投入し、2030年度までに6モデルのBEVを展開する。また、インドではハイブリッド車・CNG車・バイオガス、エタノール配合燃料の内燃機関車も継続的に投入していく計画だ。
これにより、スズキの2030年度までのBEV戦略は、日本が6モデル投入でBEV比率は20%、欧州が5モデル投入でBEV比率は80%、インドが6モデル投入でBEV比率は15%と予測する。
そしてスズキは、この電動化戦略に沿って、2030年度までに研究開発に2兆円、設備投資に2.5兆円、合わせて4.5兆円を投資。そのうち電動化投資に2兆円、さらにその中で電池関連に5000億円を投資するとしている。
■鈴木俊宏体制が目論む野心的計画
鈴木俊宏社長による「2030年度に向けた成長戦略」発表が行われたのは1月26日だったが、この日はトヨタが突然の社長交代発表を行ったため、ややその陰に隠れてしまったような感があった。
だが、このスズキ成長戦略は、BEVの積極投入によってスズキの2030年度連結売上高を2022年度3月期比で倍増となる7兆円に乗せるという注目されるものなのだ。
スズキの連結売上高は、鈴木修流経営で3兆円台に乗せ、今期2023年3月期は4.5兆円への拡大が予想される。これを2030年度に7兆円売上へ拡大するのは、鈴木俊宏スズキ体制として野心的なものだ。
コメント
コメントの使い方