■MIRAIとは何が違う? クラウンセダンとのすみ分けポイント
クラウンセダンのボディスペックは、全長5030mm、全幅1890mm、全高1470mmでホイールベースは3000mmを予定している。乗車定員は5名だ。
対する現行型MIRAIは、全長4975mm、全幅1885mm、全高1470mmで、ホイールベースは2920mmである。乗車定員はこちらも5名だ。
クラウンセダンの方が、全長・全幅はワンサイズ大きく、ショーファーニーズにも対応できるのがポイント。
MIRAIも現行型では乗車定員を5名に増やした(初代MIRAIは乗車定員4名)が、後席の快適性ではクラウンセダンが一歩上を行く存在になるはずだ。
FCEVのメインターゲットである官公庁や大企業が、潜在的に持っているニーズはショーファードリブン。
FCEVのクラウンセダンがまず仕掛けるべきは、初代と現行MIRAIを保有する、官公庁・法人ユーザーの乗り換えであろう。
同時にMIRAIが背負わされてきたショーファーカーニーズがクラウンへ移行するため、MIRAIを今後、個人ユーザーをターゲットにしたFCEVに移行できるようになってくる。
FCEVを広く普及させるためには、個人ユーザーを巻き込んだ商品展開が必須だ。クラウンセダンがMIRAIの担ってきた役割を引き継ぎ、MIRAIは未来のFCEV普及のために変化していってほしい。
今後のFCEVの普及を考えると、クラウンセダンの投入は大きな意味を持つことになるだろう。
MIRAIは個人向け、クラウンセダンは法人向けへとすみ分ける。HEVを世に広めたトヨタなら、クラウンセダンをきっかけに、FCEV市場の拡大を加速させるのも可能だ。
■トヨタディーラーが考えるFCEV販売の課題とクラウンへの期待値
ここまでFCEVの未来について考えてきたが、水素エネルギーに関しては、インフラの問題を中心に、解決しなければならないことが山積みだ。
SDGsが広まってはいるものの、まだまだ燃料電池車が便利に使える世の中ではない。
販売を任されるトヨタディーラーでも、燃料電池車を売ることに、まだまだ抵抗感があり、心配事は絶えない。
これまでも積極的に「FCEVはどうですか?」と提案できる状態になっていないのは、MIRAIの販売状況を見ても明らかである。
MIRAIの販売台数は昨年4月から月販で100台以下だ。50台を割り込む月も多く、売れる(売りたい)クルマになっていない。
クラウンセダンも販売の中心はHEVになるだろう。
だが、一部トヨタディーラーの法人営業部からは、「クラウン提案の際に、一回はFCEVを話題に出そう」と新しい提案を模索する動きも出てきた。
これまで日本では、インフラ整備にはFCEV車の普及が必要。FCEV車の普及には充分なインフラ整備が必要と、ハード・ソフトの両面で互いに現状維持を続け、どちらも動き出さない堂々巡りが続いてきた。
結果として水素エネルギーの活用もFCEV車の普及も進んではいない
■クラウンFCEVが燃料電池の未来にもつながることに期待大!!
今回、筆者が取材してきた中で、「まずFCEVを提案しようか」という姿勢が一部のトヨタディーラーから出てきたのは、大きな一歩だと思う。
こうした動きがクラウンセダンFCEVの販売につながれば、社会も水素エネルギー活用の準備を進めざるを得なくなるだろう。
クラウンという影響力の大きなクルマがFCEVを搭載することで、水素エネルギーにも新たな目が向けられるはずだ。
クラウンセダンには、日本社会、ひいては全世界のエネルギー問題を変えていく一縷の望みを感じる。
こうした挑戦を続けるトヨタ、そして工夫を続けるトヨタ販売店には引き続きエールを送りたい。
時代を変えるかもしれないクラウンセダンの登場は今秋。FCEVの未来は、クラウンに託された。
【画像ギャラリー】ウインドウ回りやCピラー形状がそっくり!! 新型クラウンセダンと2代目MIRAIを写真で見比べる!(17枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方水素エンジンの排気ガスは水蒸気。
水蒸気は温暖化の原因で、二酸化炭素より影響が強いとされているんじゃなかったかな?
水素エンジン車が普及して渋滞してたら辺り一体湿度が上がって、温暖化が捗りますね。
世界中から馬鹿にされる。
BEVが標準になりつつあるのに。
水素自動車って、な〜にって。
クラウンセダンFCEVが発売されたら、MIRAIはクラウンセダンと統合されて絶盤になると思う。
なるほど!
そのように棲み分けするのか!
記事の様にトントン拍子はさすがに難しそうです。
しかし、今は国内ガラパゴスでもしっかり水素を続けていけば、HVが世界標準になったように水素エンジンやFCVもまた世界に求められる時代は来るはず。
BMWホンダ以外にも参画メーカーが出てきた今、トヨタが流通/販売系と生産/運送系の企業とも手を組んでいるのは先を見据えていると感じます。