パリでは禁止なのに日本では推進!? 混乱も見られる電動キックボードの海外事情
日本国内では、運用に向けてスピーディな法整備が進んだ感のある電動キックボードだが、海外では手軽に利用できる移動手段として、より早い段階から普及が進んでいる。
その多くは日本国内同様、一時的な利用を想定したシェアリングサービスが主流となっているが、やはりサービス開始直後からさまざまな問題が発生しているようだ。
2018年3月から複数の事業者によるシェアリングサービスがスタートしたアメリカ・カリフォルニア州では、ルール違反や危険な運転が問題視され、すぐさま規制のための「実証プログラム」の実施が決定。
ヨーロッパのなかでも普及が進んでいるとされるドイツでも2019年6月15日からの3カ月の間に74件もの事故が起こり、飲酒運転なども問題となっているという。
また、フランス・パリ市では電動キックボードが関連した事故の増加や死亡者が出たことで、2023年4月にはシェアリングサービス事業継続を問う住民投票にまで発展。ニュースなどでも報じられたためご存じの方も多いかと思うが、有効投票総数の89.03%が事業継続に「ノー」を突きつけた。
これによりパリ市内でシェアリングサービスを展開している3社は2023年8月末をもって事業を終了する見込みとなったが、わずか7.46%という投票率の低さや、事業継続にもともと消極的であった現市長の思惑が透けて見えるなど、その先行きはまだまだ不透明な部分が多い。
誰にでも手軽に使える反面、その導入にあたってはやはり混乱が見られる電動キックボード。諸外国同様、国内でも今後の運用や規制について紆余曲折があることは間違いないとみていいだろう。
免許を持たない利用者が増えることで心配される、電動キックボードの危険性
前述のとおり、2023年7月からは「特定小型原動機付自転車」となり、16歳以上であれば運転免許証の有無にかかわらず運転することが可能となる電動キックボード。
ヘルメット着用が努力義務になった点や最高速度が20km/hへと抑えられた点などを考えると、行政側の意向としては、今ある電動アシスト付き自転車と同じように誰もがより手軽に利用できるモビリティに電動キックボードを位置づけたい意図があるようだ。
いっぽうでドライバー側の視点に立つと、運転免許証を持たない=交通ルールを理解していない利用者が増えることへの不安はやはりぬぐい切れないだけに、安全運転のための交通ルールやマナーを周知する何かしらのプログラムを利用者に対して義務付けることや、諸外国同様、安全な運用のための規制等も今後検討してほしいところだ。
対してドライバーの側も、電動キックボードをはじめとする新しいモビリティへの理解をもっと深めていく必要があるのではないだろうか。
「危険だ!」「もっと規制を強めるべきだ!」と頭ごなしに忌み嫌うのではなく、ルールを守って正しく利用するユーザーに対しては同じ道路をシェアする存在として認め、クルマ側もまた安全運転に努めることが求められていくはずだ。
バイクや自転車などと同様、万一の事故の場合、電動キックボードはクルマに比べて弱い存在であることは間違いない。
感情的なあおり運転などはもってのほかだが、不要な事故を増やさないためにも、追い抜きなどの際は十分に距離をとるといった、ちょっとしたクルマ側の気遣いも危険を回避するためには必要とされるのではないだろうか。
コメント
コメントの使い方自転車感覚の奴が普通に路肩の逆走や信号無視。逆走からの右左折でタヒ亡事故多発という結果になりそうで怖い。こんな危ないものを政府が許可する時点で、これから起こりうる事故を想定外という簡単な言葉で済ませるつもりなのか、甚だ疑問。