登場から約4年で搭載車はわずか2モデル……マツダ渾身のSKYACTIV-Xは生産終了に向かうのか!?

■今後の展開は!?

2012年登場のCX-5から投入した尿素SCRを使用せず規制をクリアしたクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」をはじめ、チャレンジできる企業風土があることは大切ではある
2012年登場のCX-5から投入した尿素SCRを使用せず規制をクリアしたクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」をはじめ、チャレンジできる企業風土があることは大切ではある

 ところが、これまた現実はそんなに甘くはなく、負荷変動の激しい自動車用エンジンで圧縮着火だけで全領域の燃焼をコントロールするのは無理。

 スパークプラグの助けを借り、火花点火の火炎を「タネ火」として圧縮着火させるSPCCI(スパークプラグ制御圧縮着火)という技術を開発して、マツダはSKYACTIV-Xの実用化に漕ぎ着けた。

 2017年の秋に、ぼくはこのSKYACTIV-Xのプロトタイプに試乗する機会を得たが、その魅力が一般のユーザーに伝わりにくいことに懸念を抱いた。

 例えば、VTECが高速カムに切り替わった瞬間の高揚感とか、ターボエンジン特有のトルクの盛り上がりとか、そういう特別なエンジンだけの体験が用意されていない。

ディスプレイ上でSPCCIに切り替わってることを表わしているが、イマイチわかりにくく、オーナーに特別なエンジンであることを感じさせるプラスアルファが足りていない
ディスプレイ上でSPCCIに切り替わってることを表わしているが、イマイチわかりにくく、オーナーに特別なエンジンであることを感じさせるプラスアルファが足りていない

 ユーザーは小さなLEDが点灯して圧縮着火モードに入ったことを知るわけだが、ぼくみたいなヲタクでないとその技術的凄みをわかってもらえないのだ。

 もちろん、SKYACTIV-Xの本質は熱効率の向上だから、ユーザーが納得する燃費性能が実現すれば問題はないのだが、SPCCIは負荷変動に応じて圧縮着火と火花着火を行ったり来たりするため、燃費はドライバーの走り方に大きく依存する。

 結果、ハイブリッドほど誰でも好燃費がマークできるわけではなく、燃費面でもアピール度が弱いという物足りなさが残る。

 ただ、商品性という点では苦戦しているが、夢にチャレンジし究極の燃焼精度を達成したことは、マツダにとって大きな資産。最新の直6ディーゼルの素晴らしい燃費性能など、地味なところに貢献していると思いたいなぁ。(TEXT/鈴木直也)

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