N-BOX頼みはもう限界!? 失速気味のホンダよ! 昔の活気を取り戻してくれ!

■今やホンダは「小さくて実用的なクルマのメーカー」

前出の表のとおり、2023年5月の小型車/普通車販売ランキングの上位10位までにホンダ車の姿はないが、写真のホンダ N-BOXは国内販売の総合1位を記録している
前出の表のとおり、2023年5月の小型車/普通車販売ランキングの上位10位までにホンダ車の姿はないが、写真のホンダ N-BOXは国内販売の総合1位を記録している

 その点で心配なのがホンダだ。今後復活の予定はあるものの、オデッセイとアコードは販売を停止している。CR-V、ジェイド、グレイス、NSXなどは廃止され、選択肢が限られる。

 この車種の減少に納期遅延も加わり、2023年2月、4月、5月の国内小型/普通車登録台数ランキングを見ると、ホンダがトップ10車に入っていない。

 それなのに国内販売の総合1位は、軽自動車のN-BOXだ。売れ行きが伸びる2023年3月には、2万7811台を届け出した。

 2位は小型車のヤリスで、同月に2万2322台を登録したが、この台数には5ドアハッチバックのヤリスに加えて、SUVのヤリスクロス、スポーツモデルのGRヤリスも含まれる。また軽自動車の販売2位はタントだが、2023年3月は1万5251台だから、N-BOXの55%に留まる。

 つまり今の国内販売では、N-BOXが他車に圧倒的な差を付けて1位になる。2023年1~5月に国内で新車として売られたホンダ車の内、40%をN-BOXが占めた。

 ひとつの車種が国内販売台数の40%に達すると、そのメーカーの販売バランスに大きな影響を与える。例えばフィットは、かつてはホンダの最多販売車種だったが、N-BOXが同じ価格帯で登場すると需要を吸い取られた。

 またN-BOXの絶好調は、ホンダのブランドイメージも変化させた。かつてのホンダは、高性能車のメーカーとされたが、N-BOXが40%を占める今は「小さくて実用的なクルマのメーカー」だ。従ってミドルサイズ以上の車種は売れ行きを下げた。

 例えばステップワゴンは、2022年に発売された設計の新しいミドルサイズミニバンだが、2023年1~5月の1か月平均登録台数は2630台だ。

 ライバル車のノアは8090台、ヴォクシーは7990台、セレナ(2023年1~3月まではノーマルエンジンのみを登録)は5310台だから、ステップワゴンは圧倒的に少ない。ここにもホンダのブランドイメージのダウンサイジングが影響を与えている。

■スズキに近づきつつあるホンダ

ホンダ フリード。コンパクトで車内の広いフリードは「小さくて実用的なクルマのメーカー」というホンダのブランドイメージに合致する
ホンダ フリード。コンパクトで車内の広いフリードは「小さくて実用的なクルマのメーカー」というホンダのブランドイメージに合致する

 その代わりコンパクトミニバンのフリードは好調だ。2023年1月と3月の小型/普通車登録台数ランキングで、唯一上位10車に入ったのがフリードだ。

 発売は2016年だから既に7年を経過して、ハイブリッドや安全装備の設計は古い。それでもフィットを始めとする設計の新しい車種を押さえて、ホンダの国内販売ではN-BOXに次ぐ2位だ。2023年1~5月の1か月平均登録台数は7250台に達した。

 これもまた今のホンダのブランドイメージに基づく。「小さくて実用的なクルマのメーカー」だから、コンパクトで車内の広いフリードは、ブランドイメージと親和性が高い。

 つまり「軽自動車のN-BOXと小型車のフリード」が今の国内におけるホンダ車の双璧で、この2車種を合計すると、国内で新車として売られたホンダ車の53%に達する。設計の古いフリードの好調な売れ行きは、今のホンダの象徴だ。

 そしてホンダの販売店によると「N-BOXは2023年の終盤に次期型が発表され、2024年に販売を開始する可能性が高い。フリードも2024年中には次期型にフルモデルチェンジされる」としている。

 そうなるとN-BOXとフリードの魅力がさらに増して、軽自動車とコンパクトな車種に向けた依存度も一層強まる。ホンダは全長が4m前後のコンパクトSUV、WR-Vも発売予定で、これも好調に売れるだろう。今のホンダはスズキへ急速に近付いている。

 そこに明確な戦略があるとは思えない。それを示すのが、ホンダが車種の廃止と復活を繰り返していることだ。

 シビックとCR-Vは一度廃止して復活させ、後者は再び廃止した。オデッセイも一度廃止して、2023年末に復活させる。アコードは新型の国内投入が遅れ、今は実質的に廃止された状態だ。ここまで車種の廃止と復活を繰り返すメーカーはない。

 自分の愛用する車種が廃止されると、ユーザーはメーカーから見捨てられた気分になり、他社に移ることも多い。車種の廃止は苦渋の選択だが、ホンダは少なくとも外部から見ていると、安直に判断しているように思える。確固たる戦略があれば、販売する車種の朝令暮改も発生しない。

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