シフトレバーが恋しい…! でも「シフトスイッチ」もいいぞっ!! 今さらだけど知っておきたい長所と短所

シフトスイッチにもデメリットはある?

シフトレバー回帰の動きも!? シフトスイッチの急拡大はマルか? バツか?
新型日産 セレナ(2022年発売)では、シフトスイッチはエアコン操作系と一体化された。写真右に写るのがシフトスイッチ(ボタン)で、操作はボタンを押すのみ

 ここまで見てみたように、シフトスイッチには利点が多い。とはいえ、やはり完璧な機構というものは存在しがたく、シフトスイッチにもデメリットはある。ここからはそのデメリットを考えていこう。

●操作に慣れが必要

 これは従来のシフトに慣れている人の話だが、最初はスイッチのみでのシフト操作にとまどってしまうケースも考えられる。さらに間違ったスイッチ(ボタン)を押してしまう可能性も否定できない。

 事前に説明書をしっかりと読み込んでおくのは当然のこととして、誤操作をしないよう心がけることが肝心だ。

●ブラインド操作には不向き?

 先にあげた慣れの問題に関連することだが、シフトスイッチを操作する場合は、目的のスイッチをちゃんと押したか目視しなくてはいけない。もちろん運転席前のディスプレイには現在のモードが表示されるが、やはりスイッチを押す際にはきちんと確認したくなるもの。

 これが従来型のマニュアルシフトやAT車のシフトレバーであれば、ドライバーは前方を見ながらでも手の感覚でどのモード(ギア)になっているかを把握できる。シフトスイッチの操作のために一瞬前方から目を離すのは安全上から好ましくない。

●車種によって操作方法が異なる

 マニュアルシフトの場合、一部の例外を除いてギアセレクトの基本的なパターンは世界中のメーカーで共通している。だからいったん操作を覚えてしまえば、ほかのクルマに乗り換えても同様の操作を行うことができた。

 しかし、シフトスイッチの操作パターンは車種によって異なる。つまり、運転する車が変わるたびに新たなパターンを確認しなくてはならない。将来的に操作方法が共通化される可能性はあるが、シフトスイッチ自体が発展中の機能だけに、しばらくの間はメーカー側の模索も続きそうだ。

●フル電子制御の思わぬ弱点

 これはシフトスイッチの位置や操作方法の問題ではないが、すべての制御を電子に頼っていると、なんらかの原因で制御用コンピュータが動作しなくなった際に、そのクルマはまったく走れなくなるのも弱点といえる。

 これがアナログスタイルのシフトであれば、とりあえずどこかのギアに入れることは可能で、緊急時にも走行を続けられる。

 こうした緊急事態においてのみ、マニュアルトランスミッション+機械式キャブレターが最強といえるが、もちろんこれは極端な話。とはいえ、すべてを電子制御に頼る危うさは心にとめておいて損はない。

シフトスイッチの未来はどうなる?

シフトレバー回帰の動きも!? シフトスイッチの急拡大はマルか? バツか?
指先だけでシフト操作が可能なスバル ソルテラのダイヤル式シフト。ソルテラはEVのためこうした操作を電子的に行い、安全性も十分に配慮されている

 ここまで見てきたように、一部では操作しにくいという意見もあるシフトスイッチだが、今後はさらに勢力を拡大することが予想される。

 特に電気信号を使って操作を行うシフトスイッチはEVとの相性も良く、EVの増加とともにシフトスイッチもよりポピュラーなものになっていくだろう。

 操作がしにくい、あるいは難しいという問題も、普及にともなって洗練されるのは間違いない。たとえば現在はメジャーになっているスマートフォンだって、登場当初はアナログボタンがないことに不便を感じる人も多かった。しかし、現在ではそうした声を聞くことはほとんどない。

 どうしてもシフトスイッチに慣れないドライバーが、トラディショナルなシフトレバー仕様のクルマに乗り換えるケースはあるかもしれない。だが、メーカー側がシフトスイッチを推し進めている以上、それが主流になっていくのは必然。

 こうなったらアタマを柔らかくして、先端技術のシフトスイッチを楽しんでしまうのがイチバン。なんだか時代の最先端にいる気がしてこないだろうか?

【画像ギャラリー】使いやすい? 使いづらい? シフトスイッチの功罪を探る(11枚)画像ギャラリー

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