おじさん世代から異議あり!! なんでもかんでもクルマの装備を自動化にしちゃうってどうよ

おじさん世代から異議あり!! なんでもかんでもクルマの装備を自動化にしちゃうってどうよ

 究極のクルマの自動化は自動運転だが、その前にさまざまな機能が自動化されているのはご存じのとおり。しかし、自動化されて便利になったものがあれば、ここまで自動化しなくても……と思う機能もある。

 今回は、進歩の著しいクルマの自動化について「ここは自動でなくてもいいんじゃないか?」という機能を考えていきたい。自動化によって新たな問題も生まれている?

文/長谷川 敦、写真/スバル、トヨタ、日産、マツダ、写真AC

煽られてると勘違い? 「オートハイビーム」

意義あり!! 「なんでもかんでも自動化装備」ってどうよ?
日産では対向車や周囲の明るさに応じて自動的にハイビームとロービームを切り替える機能をハイビームアシストと呼称。この機能はオフにすることもできる

 市街地や街路灯のあるところではヘッドライトを通常の角度(ロービーム)で照射し、山道などの前方が確認しにくい場所ではヘッドライトの角度を調整して遠くまで見渡せるようにする、これがいわゆるハイビームだ。

 通常ロービームとハイビームの切り換えはドライバーが行うが、これを状況に応じて自動的に行ってくれるのがオートハイビーム機能。オートハイビームを作動させていれば、常に最適な視界が得られてドライバーは夜道での運転に集中できる。

 しかし、便利に思えるこのオートハイビームにも思わぬ落とし穴があるという。

 それは前方に対向車や歩行者などがいるとき。対向してくるクルマの照射角がいきなり変わると、対向車のドライバーが「パッシングされた」と勘違いするケースもある。それがドライバー同士のトラブルに発展した場合は最悪。

 また、ハイビームとロービームの切り替えにタイムラグが生じるケースもあり、これが誤解の原因になる可能性も考えられる。

 実は、道交法ではハイビームで常時走行し、すれ違いのある市街地ではロービームに変更するとされている。しかし、これが実情に即しているとは考えにくい。

 実際にオートハイビームは使いにくいとの声もあり、この機能をキャンセルできるクルマもある。

 これからオートハイビームがどこまで普及するのかは不明だが、状況に応じてさらにきめ細かく照射角や照射範囲の切り替えが行われるようになるのが理想だ。

ちょっとだけイラっとする場合も「アイドリングストップ」

意義あり!! 「なんでもかんでも自動化装備」ってどうよ?
信号待ちなどの停車時に自動的にエンジンをオフにするのがアイドリングストップ機能。これによって無駄なガソリンの消費を抑えるため環境にも優しい

 限りある化石燃料を消費している現在のクルマ社会では、その燃料を節約し、さらに排出ガスを削減するのが必須といえる。そうした理由もあって、自動車メーカーはガソリン車の燃費向上を目指しつつ、ハイブリッドやEV(電気自動車)の普及も進めている。

 停車中のエンジンを停止させ、無駄なガソリンの消費を防ぐアイドリングストップも、燃料消費量とガスの排出を抑えるために生まれた自動装備のひとつ。

 信号待ちや渋滞のなかなど、クルマに積んだ燃料が前進のために使われていない間は自動的にエンジンを停止するこのアイドリングストップ機能。ドライバーの足がブレーキペダルから離れると、エンジンが始動して走行可能になる。

 しかし、オートハイビーム同様に機能の作動にはタイムラグがあり、特に駐車場で停止後にすぐバックしたい場合にエンジンの始動が遅れてイライラしてしまうこともある。

 もちろん、エンジン始動に何分もかかるわけではなく、タイムラグといってもわずかなものなのだが、これがドライバーにストレスを与えているケースも無視できない。

 また、アイドリングストップ機能はエンジンを始動するセルモーターやバッテリーの負担を増やし、これらの寿命を縮めてしまうという意見もある。

 バッテリーをセーブするという理由から、アイドリングストップ時にはエアコンが自動的に送風のみに切り替わる機能もある。しかし、これは真夏の渋滞中などには不向きな機能だ。

 アイドリングストップ機能をオフにできるクルマも多く、前出のエアコン問題などは機能オフで解決できる。しかし、本来よかれと思って装備された機能をオフにするのも少々残念ではある。

 燃料の節約と排出ガス削減は全人類共通の課題で、そういう意味でアイドリングストップは正義だが、もう少し使い勝手が良くなってほしいと思うのはぜいたくなことだろうか?

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