発売から1年……日産軽EVサクラは累計4万台突破! 国内EVシェア4割を獲得できたワケとは

■内外装の作りのよさもサクラ人気の秘密

サクラの作り込まれたインテリア。今までのような軽自動車っぽさがあまりなく、上質に仕上げられている
サクラの作り込まれたインテリア。今までのような軽自動車っぽさがあまりなく、上質に仕上げられている

 しかし、電気自動車をセカンドカーとして街中の移動にかぎって使えば、長距離を走る必要はない。遠方への外出にはファーストカーを使うからだ。

 従来の電気自動車は、2009年に販売を開始した三菱i-MiEVを除くと、大半が3ナンバーサイズの普通車だった。リーフを含めて街中の移動で使うにはボディが大きく、ファーストカーとして長距離を移動する機能が求められ、そのためには駆動用電池の容量が足りないという批判が生じた。

 これに対してサクラは、街中の移動に適した軽自動車として成立させたため、充電設備を設置できる一戸建てのセカンドカーとして急速に普及した。

 サクラでは、内外装も人気の秘訣だ。特に外観のフロントマスクは、上級電気自動車のアリアに似ている。上質感があり、遠方から見ても電気自動車のサクラだと識別できる。インパネやシートなど、内装の作りもていねいだ。

 しかも電気自動車は、モーターの反応が機敏で滑らかさもあり、ノイズは小さい。上質な内装との相乗効果で「小さな高級車」の気分も味わえる。このようなガソリンエンジンを搭載した軽自動車とは異なるサクラならではの魅力も、販売が好調な理由だ。

■総額で補助金の占める割合が多いサクラ

サクラの場合、Xグレードなら国からの補助金55万円だけでも全体の金額での22%に達する。東京都在住なら、そこからさらに55万円が上乗せされる
サクラの場合、Xグレードなら国からの補助金55万円だけでも全体の金額での22%に達する。東京都在住なら、そこからさらに55万円が上乗せされる

 価格と補助金のバランスもある。サクラの価格は、実用装備を充実させた「X」が254万8700円、運転支援機能のプロパイロットやインテリジェントアラウンドビューモニターなどを標準装着する上級の「G」は304万400円だ。

 リーフで売れ筋になる「X・Vセレクション」(駆動用電池容量は40kWh)は431万8600円だから、サクラは軽自動車とあって、Xなら価格がリーフX・Vセレクションよりも約177万円安い。

 ところが、経済産業省による補助金の交付額は、サクラは全車が55万円とされ、リーフX・Vセレクションの78万円と比較して23万円しか違わない。リーフの価格に占める補助金の割合は18%だが、サクラXでは22%に達する。

 そしてサクラXの価格から経済産業省による補助金額を差し引いた実質価格は199万8700円だ。ガソリンエンジンを搭載する日産の売れ筋軽自動車、ルークスハイウェイスターGターボの205万7000円を下回る。しかも動力性能は、モーター駆動の効果により、サクラのほうがパワフルだ。

 さらに電気自動車の補助金は、経済産業省とは別に、地方自治体からも交付を受けられる場合がある。交付額は自治体によって異なるが、東京都はサクラに55万円を交付している(自動車メーカー別の上乗せ補助額を含む)。経済産業省と合計すれば110万円だから、サクラXが実質約145万円で手に入る。日産デイズのベーシックなXに近い価格だ。

 東京都千代田区になると、電気自動車には国や東京都とは別に20万円を交付しており、これも加えると補助金総額は130万円だ。サクラXが実質125万円になる。

 このように電気自動車に交付される補助金は、車両価格をほとんど考えていない。安価な車種ほど、価格に占める補助金の割合が増える。サクラXのように、最大値では、半額以上が補助されて格安で購入できるのだ。このような補助金のカラクリも、サクラの売れゆきを押し上げた。

次ページは : ■税金投入前提の補助金自体が著しく不公平な面も

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