ニュル最速のシビックはどうやって生まれた? レーシング魂全開のホンダタイプR誕生のワケに迫る!!

■一躍人気車に! NSXタイプRのエッセンスが取り入れられたタイプR第二弾

初代ホンダ インテグラタイプR(DC2)1995〜2001年
初代ホンダ インテグラタイプR(DC2)1995〜2001年

 1995年秋、NSXに続いてインテグラにタイプRを設定。NSXタイプRの設計思想を継承する硬派モデルで、身近なレーシングスポーツがほしい、というファンの声に応え、送り出されている。

 パワーユニットは1.8LのB18C型直列4気筒DOHC・VTECだ。量産エンジンだが、鈴鹿工場の製造ラインの一部に特殊な製造工程を加え、徹底的にチューニングを行った。ポート研磨はベテラン職人による手作業だ。最高出力は200psである。

 サスペンションなども軽量化し、サーキット寄りの味付けとした。ちなみにインテグラに続くシビックのタイプRは、ワインディングロードを気持ちよく走ることを重視して足を決めている。3ドアのクーペと4ドアHT、2種類のボディタイプを揃えたタイプRは、このモデルだけだ。

 FF車として初のタイプR、「96スペックR」は刺激的だった。極端すぎたためか、1998年1月に送り出した「98スペックR」は少しマイルドな味付けとした。最終型は1999年登場の「00スペックR」だ。

 2代目のDC5インテグラタイプRは全幅を広げ、ボディの剛性アップにも取り組んでいる。パワーユニットに選ばれたのは、最新の排ガス規制をパスしながら高性能化した2LのK20A型4気筒DOHC・i-VTECだ。6速MTやサスペンションを一新した力作だったが、2代だけで姿を消してしまった。

■タイプRの始祖! 徹底的に運動性能を追求したスパルタンモデル

ホンダ NSX(I型)1992〜1996年
ホンダ NSX(I型)1992〜1996年

 レーシングテクノロジーを結集して開発した「タイプR」、その最初の作品にNSXが選ばれたのは当然だろう。

 ホンダのフラッグシップ・スポーツカーであり、新しい価値観も数多く盛り込んでいる。NSXは「解放するスポーツカー」だが極限まで軽量化したら運動性能はどれだけ高められるか、というエンジニアの探究心とこだわり、ドライビングプレジャーの追求がタイプRを生み出した。

 1995年3月にタイプRはアップデートしたが、半年後には受注を終了している。NSXは改良を続けたが、さすがに優位性は薄れてきた。

 そこで2001年秋の東京モーターショーに「NSX-Rコンセプト」を出品。2002年5月に第2世代の「NSX-R」がベールを脱いでいる。力を入れたのは、サーキットで圧倒的な速さを実現するためのエアロダイナミクスの改善だ。

■Rの名を冠した異端児たち

ホンダ アコード ユーロR(初代)2000〜2002年
ホンダ アコード ユーロR(初代)2000〜2002年

 タイプRは、単独で開発することはできない。必要なのは素性のよいベース車。これに手を入れ、サーキットを気持ちよく走れるようにしたのがタイプRだ。いうまでもなく「R」はレーシングの頭文字で、レーシングカーに近い性格のクルマである。

 タイプRの誇りは、真紅の地色にHの文字を配した赤いエンブレムだ。グレード名を決める時、営業部門などからは「タイプS」を推す人が多かったという。が、レーシングマシン直系の高性能車だからタイプRにこだわった。

 ホンダのなかにはタイプRを名乗りたかったのに名乗れなかったスポーツモデルも多く存在する。その代表がアコードとトルネオに設定されたユーロRだ。

 2000年6月、両車に追加された高性能スポーツセダンで、専用のローダウンサスペンションや16インチの軽量アルミホイール、レカロ製バケットシート、アルミ製シフトノブ、ホワイトメーターなど、多くの内外装パーツを替えている。

 2.2LのDOHC-VTECエンジンはリッター当たり100psを絞り出し、エキサイティングだった。フットワークも冴えている。スポーツ性能が高いだけでなく快適性も重視したから「ユーロR」を名乗った。

 だが、その実力が一級品だったことは海外で「タイプR」を名乗っていたことからわかるだろう。アコードは2代にわたってユーロRを設定する。

 欧州仕様の8代目シビックをベースにした3ドアのFN2タイプRも、日本向けモデルは「タイプRユーロ」を名乗った。ゴルフGTIのような味わいのホットハッチである。K20Z型エンジンは意識してパワーを抑え、公道で痛快な走りを楽しめるアスリート系グランドツアラーだった。

 また、初代NSXには気負わずに高性能を楽しめる「タイプS」が用意されていた。これとは逆に後期モデルにはスーパーGT参戦のためのホモロゲーションモデルとして5台限定の形で「NSX-R GT」が生産されている。価格は驚異の5000万円だ。

次ページは : 【番外コラム】サーキット以外でも躍動したタイプR

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