つ…使って…ますか? いらなくない??「ドライブモード」の功罪とよりよい「場所」

つ…使って…ますか? いらなくない??「ドライブモード」の功罪とよりよい「場所」

 昨今のクルマには、「ドライブモード切替スイッチ」が装備されていることが多い。普段はエコモードで、山坂道ではスポーツモードで」といった具合に、シーンに合わせてドライバーが自ら切り替えることのできる面白いアイテムだが、クルマを日常の「足」として使っていると、そのうち切り替えるのが面倒になり、数カ月もするとすっかり使わなくなる人も少なくないのではないだろうか。ドライブモード切替で何が変わるのかをご紹介しながら、いつ使ったらいいのか、また、なぜ使われなくなるのかについても触れていこう。

文:吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_編集部 MOBY
写真:Mercedes-BENZ、SUBARU、LEXUS、NISSAN、TOYOTA、MAZDA、HONDA

シフトタイミングや操舵力、ダンパー、エアロダイナミクスまで、様々なデバイスを調整可能

 ドライブモード変更は、一般的に、エンジン制御とトランスミッションの変速制御の組み合わせで設定されていることが多い。「ノーマル」に対して、「スポーツモード」ではアクセル開度を変更したり、エンジン回転数を高めにキープするように変速タイミングを変更することが多く、アクセル操作にダイレクト感が増して、キビキビと走行できるようになる。登坂路や高速道路での追い越しなどでは、「スポ―ツモード」へ切り替えたほうが、加速は楽になるだろう。「エコモード」は、エンジンの回転数を低く抑えた燃費重視の変速となるが、電動車(ハイブリッド車やPHEV、BEV等)の場合だと、アクセルオフで強めに減速を働かせて回生を増やすような制御としていることが多い。

 最近では、このモード切替によって操舵力も変わるものが増えている。EPS(電制パワーステアリング)には、車速などに応じて操舵力特性を定義した制御マップがあり(低速では据え切りしやすく軽めに、高速ではしっかり感を出すため重ためにする等)、ドライブモード変更した際に、この制御マップを切り替えることで、例えばスポーティな味付けの操舵力特性などへ、瞬時に変更できるようになる。これはEPSだからできるものであり、油圧パワステの時代には不可能だったことだ。一般的には、スポーツモードは操舵力が重めになる。ドライバーは手ごたえを強めたほうが操舵した際にダイレクト感を強く感じるようになるためだ。ハンドルが落ち着く(「舵が座る」ともいう)ので、ワインディング等を走るときだけでなく、高速走行時にもスポーツモードがおススメだ。

 さらには、エアロダイナミクスや電子制御ダンパーの効きの強さ、エアサスペンション車では車高、最新の車種だとサウンド(アクティブサウンドコントロール等)まで、モード切替によってさまざまな制御がモードチェンジできる。電制ダンパーが備わると、コンフォートモードが登場したり、スポーツモードの上にスポーツプラスモードが加わったりもする。操舵力はスポーツ、トランスミッションはエコ、ダンパーはスポーツ、といった具合に、各設定を好みで調整できるクルマもある。ちなみに、この「操舵力はスポーツ、トランスミッションはエコ、ダンパーはスポーツ」の組み合わせは、安心感が高まるため、高速走行時におすすめだ。

 制御の可変幅はクルマによってそれぞれで、誰もが感じ取れるものではなかったりするが(筆者も自信はない)、「備わっていることに価値がある」という考え方もあり、高価なクルマになるほどに、ドライブモードで変更できるデバイスが増える傾向がある。

メルセデスAMG SL 43のコクピット。ステアリングホイールの中央下に設置されている2つの円いスイッチは、右側がドライブモード変更、左側がサスペンション設定やリアスポイラー角度変更などのスイッチ
メルセデスAMG SL 43のコクピット。ステアリングホイールの中央下に設置されている2つの円いスイッチは、右側がドライブモード変更、左側がサスペンション設定やリアスポイラー角度変更などのスイッチ

次ページは : ドライブモード切替は、使いたければ使えばいい

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