近年のスバルのブランドイメージを作った立役者と言えば「ぶつからないクルマ」のフレーズで有名なアイサイトだろう。運転支援システムは現代のクルマに必須のアイテムとなっているが、スバルのアイサイトはこの分野において先駆者である。今回はそんなアイサイトの歴史を振り返ってみよう。
文/西川昇吾、写真/SUBARU
■1999年に実用化
運転支援システムの先駆者とも言えるアイサイトは、その前身と言える「ADA(アクティブ・ドライビング・アシスト)」が1999年に実用化され、レガシィランカスターに装備された。これは世界で初めて実用化に成功したステレオ画像認識を用いた運転支援システムであった。
このADAはフロントウィンドウ内部に設置された2基のCCDカメラから得た立体画像情報をステレオ画像認識装置により解析。これで車両前方の状況を認識し、ナビから提供される道路情報、横滑り防止装置などから入力される走行情報と合わせて車両の状況を総合的に判断し、ドライバーに必要な警告や車両の制御を行うことを可能にした。
実用化された当時のADAを見てみると、ルームミラーの上部にカメラが搭載されていて、見た目だけで言えばアイサイトと大きく変わらない。
1997年に登場した初代プリウスの「21世紀に間に合いました」というフレーズは有名だが、ADAの登場は1999年。言ってみればアイサイトも21世紀に間に合ったのである。それだけスバルにとっては悲願の技術であったのだ。
■10年をかけて実用化
スバルにとって悲願の技術と言ったが、その起源は1980年代にまで遡る。
スバルは当初ステレオカメラをエンジンの燃焼を可視化する技術として開発していた。しかし、当時のトレンドは各自動車メーカーがこぞって先進安全自動車を開発していた時代。
そこでスバルはこのステレオカメラの技術を先進安全自動車に応用する研究開発を1989年にスタートさせた。
その後も研究を続け10年かけてレガシィランカスターでADAとして実用化されたのだ。この時のADAには「車間距離警報」「車線逸脱警報」「車間距離制御クルーズコントロール」「カーブ警報/制御」といった現在のアイサイトに繋がる4つの機能が搭載されている。
2003年、ADAはミリ波レーダーが加わった第2世代のシステムへと進化した。この第2世代では「追従モニター」「ふらつき警報」「グリップモニター」「前車発進モニター」などが新たな機能として追加された。
しかし、価格が高かったことから販売台数では大苦戦を強いられる。この反省から2006年にはステレオカメラを使用しない代わりにレーザーレーダーを使用した「SI-Cruise」を販売。一時的にステレオカメラでの運転支援システムは姿を消すこととなる。
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