日本の働くクルマの中心的存在であるトヨタ「ハイエース」。現行型は2004年に登場した5代目、もうすぐ20年選手にもなるロングライフなモデルだ。マイナーチェンジや改良を重ね、ここまで商品力を維持してきたが、やはりそろそろ次期型がみたいところ。そんななか、先日開催されたジャパンモビリティショー2023のトヨタ車体のブースにおいて、「GLOBAL HIACE BEV CONCEPT (グローバル ハイエース BEV コンセプト)」が出展された。
はたしてこれが次期型ハイエースの姿なのか!?? 現場の説明員の方から伺った話をもとに、ハイエースのBEV化は、現時点においてどれだけ現実的なのか考察しよう。
文:吉川賢一
写真:TOYOTA、JAMA、エムスリープロダクション
H300系ハイエースをベースとした、広大な荷室のBEV
トヨタ車体のプレスリリースによると、グローバルハイエースBEVコンセプト(以下ハイエースコンセプト)は、全長5280mm、全幅1950mm、全高1990mm、ホイールベース3210mmという超大型バンだ。フロントやボディサイドのデザインから、海外向けラージサイズバンのH300系ハイエース(全長5300 mm×全幅1970mm×全高1990mm)がベースであることがわかる。
300系ハイエースといえば、日本では6人もしくは8人乗りのMPV「グランエース」として導入されているが、今回のハイエースコンセプトは乗員1名。その代わり、最大荷室長3490mm、荷室幅1715mm、荷室高1270mmという、広大な荷室エリアが与えられており、約3.5mの長尺物も雨風にさらすことなく配送が可能。そして、フラットなフロアの下に、走行用バッテリーが敷き詰められている。
トヨタ車体のブースで、お話を伺った(トヨタ車体の)担当の方によると、次世代のハイエースは、従来通りにガソリン仕様とBEV仕様とを選べるようにしておくことで、地域やお客様の要望に合わせていきたいそう。また、BEVの走行用バッテリーの積載量は、車両価格と走行距離に影響するため、ユーザーの事情に合わせて選択できるようにしていきたいとのこと。充電網が発達していない国や地域ではガソリン車を、充電網が発達している場所ではバッテリー容量を減らしたBEVを、という提案だ。
ハイエースコンセプトの走行用バッテリーは、最大二列まで積む設計がされているという。価格を抑えたいお客様は走行用バッテリーを一列のみ搭載し、価格を抑えつつフロアも低い仕様を選べるようにする。ただ、詳細なバッテリースペックや積載容量は検討段階だそう。また、コネクティッド技術を活用して、ルートの最適化を提案したり、次に配達する荷物の積載位置を表示したりと、業務ストレスを軽減する技術も盛り込まれている。また、最小回転半径は5.5mと、この巨体にしては考えられない小回り性能も有している。
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