屋根(ルーフ)が開放できるクルマでのドライブは、それだけで非日常的な開放感や特別感が味わえるものだ。カフェのテラス席やキャンプなど、アウトドアで楽しむことが一般的になっているいまだからこそ見直したい、クルマのルーフの種類やその価値を振り返ってみたい。
文/藤井順一、写真/スズキ、トヨタ、日産、ホンダ、マツダ
■屋根のあるクルマとないクルマのメリット、デメリット
そもそもなぜクルマにはルーフが必要なのか。
ベースとなる車両からルーフを取り去ったオープンカーは、欧州(ドイツやフランス)ではカブリオレ、イギリスやアメリカなどの英語圏ではコンバーチブルと呼ばれ、一般にオープンカーとして専用設計されたクルマの呼称であるロードスターやスパイダーなどとは区別されるが、いずれも屋根がないオープンエアでのドライビングを付加価値としている。
屋根が取り払われた開放的な移動空間は、自転車やバイクとも異なる、オープンカーだけでしか味わえない楽しさにあふれている。
その一方、クローズドのボディと比較して強度や安全性の面で劣る。この難点をクリアすべく、オープンカーはさまざまな進化を遂げてきた。なかでもTバールーフは印象的だ。
Tバールーフは、主に2シーターのスポーツカーにおいて、ルーフパネルからルーフ後方に向け、中央部分のみを残し、左右のルーフが取り外せる構造のこと。
中央の構造が骨組みとして残るため、オープンカーの泣き所である強度不足を補うことができるため、日産「フェアレディZ」やトヨタ「MR2」などに採用されたことで知られる。
オープンカーの安全性や強度不足に対応したものにはこの他、ポルシェ「911」がルーツで、フロントとリアのウィンドウを残して屋根だけが取り外せるタルガトップも有名。
国産では1992年発表のホンダ「CR-X デルソル」や「NSXタイプT」、スズキ「カプチーノ」にも設定された。
電動可動式の硬いルーフを持つCR-X デルソルは、前作までの硬派なコンパクトスポーツとしての路線から大きく舵を切ったもの。
コアなホンダ党にはそっぽを向かれてしまったが、それ以降、オープンカーのルーフの素材は幌から金属性の硬いルーフが主流となった。そういったことを考えると、CR-X デルソルは、時代を先取りしすぎたのかもしれない……。
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