例年に比べて暖かいとはいえ、スタッドレスタイヤにタイヤを履き替える人が増えてくる時期となった。そこで今回は、自らタイヤ交換をする人へ向けて、交換時の要注意ポイントなども紹介。プロショップで交換する人にも、注意すべき点はある!
文/今坂純也(DIRT SKIP)、写真/写真AC
【画像ギャラリー】タイヤ交換前にチェックしておくべき注意点とは?(10枚)画像ギャラリー■大型車の車輪脱落が増加! だが大型車に限ったことではない
国土交通省によると、大型車の車輪脱落事故は2011年を境に増加傾向で、10年で12倍に拡大。また、車輪脱落事故は11月から2月にかけての冬季、東北地方に集中し、実に58%もの事故が車輪脱着作業後1カ月以内に起こっている。
これは大型車の例だが、車輪の脱落はなにも大型車に限ったことではない。
現在は、タイヤ付きホイールが手軽にインターネット通販で手に入る時代になり、車輪交換時に使用する工具も簡単に手に入る。
ユーザーの多くはプロショップで交換作業を行っているだろうが、こういった背景から自ら作業を行うユーザーも少なくない。
車輪の脱落事故の第一原因は「ホイールナットの締め付けトルク不足」といわれている。よって、自ら車輪交換を行うユーザーが事故を起こさないためには、適切な締め付けトルクでホイールナットを締めるための“トルクレンチ”は必須であり、正しいトルクレンチの使い方はもちろん、正しい交換手順は知っておきたいもの。
■自分のクルマは自分で整備すべきだが…注意すべきポイントは多い
道路運送車両法の第47条に「使用者の点検及び整備の義務」という項があり、ここに「自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない」とある。
つまり、保安基準に適合するように、自分のクルマは自分で整備をしなくてはならないのだ。
もちろん、自分で整備ができない人はプロショップへ任せてなんら問題ない。
自動車整備の中でも車輪交換(一般的には「タイヤ交換」といわれるが、タイヤをホイールにつけ外しするのではなく、タイヤが取り付けられたホイール=車輪交換)は、注意すべき点に注意すればDIY初心者でも十分可能な作業といえる。
●車輪交換をする時に用意したい工具
・車載工具にあるホイールナット用レンチか十字レンチ
・車載ジャッキかフロアジャッキ
・ジャッキスタンド(“ウマ”とも呼ぶ)
・車輪止め
・トルクレンチ
●車輪交換手順
まずは、クルマを斜面ではない、平らな場所に停めて作業すること。車輪止めをしてもクルマが動いてしまう可能性のある斜面での作業は非常に危険!
1.クルマが動かないように固定する
AT車はパーキングにシフトしてパーキングブレーキをかけてエンジン停止。その後、ジャッキアップする車輪の対角にある車輪に車輪止めをしっかり当てる。
2.ホイールナットを緩める
ホイールナットをレンチで反時計回りに回して、ホイールナットを指で回せる程度まで緩める。
3.ジャッキで車輪を地面から浮かせる
ジャッキをジャッキポイントに当てて(当てる場所はクルマの説明書参照)、車輪が地面から数cm浮くくらいまでジャッキアップする。ジャッキアップ後はジャッキスタンドをクルマと地面の間に置いて、万が一ジャッキが外れてしまってもクルマが地面に接地しないようにする。
4.新しい車輪を装着する
ホイールナットをすべて緩め、新しい車輪に入れ替えたらすべてのホイールナットを指で締まるところまできっちり締め込む。
5.トルクレンチを使って規定トルクでホイールナットを締める
ジャッキスタンドを外し、ジャッキを下げて車輪を地面に接地させる。その後、規定トルク(普通車なら100N・mあたり。クルマの説明書参照)までトルクレンチを使って締め込む。
ホイールナットの締め込む順番は、締めたナットの対角線上にあるナットを次に締めるように。例えば、ホイールナットが5本なら、★の形を一筆書きで書く感じで締めればいい。
6.すべてのホイールナットに再度トルクレンチを当てて締め忘れがないかチェック!
■自分で作業する場合の注意点は?
さらに、DIYでタイヤを交換する場合の注意点を詳しく解説していこう。
●故障の原因となるため、トルクレンチは緩めるときには使わない。緩める方向にも回せるようにレバーが付いているが、「レンチがない場合」の緊急事態用である。
●緊急事態的に車輪交換をする場合、ジャッキスタンドがない場合もある。その場合は、外した車輪をクルマと地面の間に置き、万が一ジャッキが外れてもクルマが地面に接地しないようにする。
●トルクレンチがない場合は車載工具にあるホイールナット用レンチや十字レンチを使うが、足で持ち手を踏むなどして過剰なトルクでホイールナットを締めないこと。ハブボルトのネジ山を傷め、ハブボルト自体が走行中に折れる場合がある。
●規定トルクでホイールナットを締めても走行後に緩みが発生する場合があるため、50km程度走行後に必ずすべてのホイールナットにトルクレンチを当てて、規定トルクで締め直す。
●ボルトを緩めるときや締めるときに「ある程度緩んでいるのに指で回らない……。回すときに引っ掛かりがある」と感じた場合はネジ山が傷んでいる可能性大。この場合はプロショップに修理を依頼。
●ホイールナットの締め付けトルク不足が車輪脱落の大きな原因といえるが、トルクレンチを使っていないから……というよりは、指でホイールナットを締めるなどの“仮止め”の状態で走行したことも原因のひとつ。よって、交換作業の最後には必ずトルクレンチをすべてのホイールナットに当て、締め忘れがないかを確認!
コメント
コメントの使い方タイヤ交換脱着した後、数Km走行後に増す締め行うのは原則だよ
北海道の人間はどちらかというとケンチャナヨ的な考えする人、多いからねぇ。ダラです