新車の納期が長くなっている昨今、中古車の人気は高まる一方だ。さらに2023年10月1日からは、中古車販売価格の表示が支払総額に変わった。高い人気と制度の改変で、中古車の値引きが減ってきているという。とはいえ、値引きを行うクルマも残る。中古車購入時に覚えておきたい値引きの仕組みを解説していく。
文/佐々木 亘、写真/Adobe Stock(アイキャッチ画像:xiaosan@Adobe Stock)
■クルマを値引いて購入するのは昔の話になりつつある
新車でも中古車でも、クルマを買うなら「値引き交渉」が必須と考えている人が多いと思う。しかしながら、最近の自動車販売現場では、新車・中古車にかかわらず、値引きが行われることが少なくなってきた。
供給よりも需要が大きいため、「早く欲しい」「このクルマが欲しい」という購入者意識が優先される。値引き交渉が多く、商談が長引くユーザーの相手は後回しになりがちだ。
特に中古車は、それぞれの商品が一点ものだ。同じ車の同じ仕様で同じ状態というものは、世界に1つしかない。
また、販売価格表示が支払総額に変わり、値引き前提の価格表示よりも、ギリギリいっぱいまで表示価格を引き下げて売りに出す方が、中古車の売れ行きは良いという。
値引き交渉というのは、昔の売り方となっている。これをユーザー自身も認識しておく必要があるだろう。
■値引きができないクルマは全国各地に購入希望者がいる
中古車探しは現場を回るよりも、ネットで検索することが多くなっている。
中古車販売専門店はもちろん、これまで自社の中古車販売ページだけに情報を掲載していた正規ディーラーの認定中古車も、大手の中古車検索ページで掲載されるようになってきた。
これはすなわち、売り込むターゲットが変わっているということ。これまでは、お店の周辺のユーザーだけがターゲットだったが、今は少なくとも全国各地の自動車ユーザーに商品を売り込むことができるのだ。
こうした背景を理由に、販売地域を限定せずに売り出す中古車では、原則的に値下げができない車両が多い。同系列のお店を通じて、他都道府県のクルマを地元まで引っ張ってくるというケースも、値引きはNGとなるだろう。
原則値引きNGのクルマに、値引き交渉を行うのは時間の無駄だ。中古車購入時には、そのクルマが地域限定で売られているのか、それとも全国向けて売っているのかを確認し、もし後者であればワンプライス販売が基本になると心得よ。
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