■軽自動車もターボチャージャーでドーピング「ミニカアミ/ミニカエコノ」
1980年代、三菱は「フルラインターボ」を掲げ、すべての車種にターボエンジン搭載を目指していた。軽自動車も例外ではなく、ミニカにも軽初となるターボモデルがラインナップされたのだ。
1977年にモデルチェンジした4代目ミニカは、「アミ55」のサブネームを付けてデビュー。マイナーチェンジ時にホイールベースを延長して「アミL」へ改名し、商用モデルの「エコノ」も登場した。そして、1983年2月には両者にターボモデルが追加された。
546cc直2のG23Bユニットには、世界最小の自動車用ターボチャージャーをドッキング。燃料供給装置はキャブレターながら、排ガス対策技術のMCAやサイレントシャフトといった独自のテクノロジーも採用。その結果、39ps/5.5kgmというスペックを誇った。
1984年2月には5代目へモデルチェンジしたため、ターボモデルの生産は約1年しかない。それゆえ、記念すべき軽ターボ第1号ながら、人々の記憶に残らないモデルとなってしまったのだ。
■ふたつ付ければ鬼に金棒!? 国産初ツインターボ「マークII3兄弟(X71)」
1979年に初めて市販車に採用されて以来、DOHCとの組み合わせやインタークーラー付きなど、さらなるパワーを求めて進化を続けたターボエンジン。1985年には、当時のハイソカーブームを牽引した71系マークII3兄弟に日本初のツインターボモデルが追加され、クルマ好きをアッと言わせた。
搭載される1G-GTは、ひと言で言ってしまえば既存の1G-Gにターボをドッキングしたもの。ただし、小型軽量のターボをふたつ装着したことで優れたレスポンスを実現し、ターボ特有のターボラグを低減。高出力を達成しながら、全域でターボの効果を発揮させることができるようになった。
スペックを見てもその差は明らかで、1G-GTが185psなのに対し、1G-Gは160ps。しかも後者はグロス値のため、実際には50psほどパワーアップした計算だ。
また、エンジン本体の強度を高め、水冷式インタークーラーや高性能ECUを採用したことも、高出力化に大きく貢献している。
その一方、1G-GTを搭載する「GTツインターボ」は、標準車とそれほど大きな見た目の違いはない。つまり、「羊の皮を被った狼」的な存在なのである。
■日本の乗用車史上唯一となるツインチャージャー「マーチ(K10)」
日産の新しいベーシックカーとして1982年にデビューしたマーチ。初代は約10年も生産された息の長いモデルとなったわけだが、1988年には驚愕のスペシャルモデルが登場した。それがマーチRだ。
「R」の名が示すように、あくまでもコンペティションモデルなのだが、特に注目したいのが搭載されるMA09ERTユニット。日本初のターボとスーパーチャージャーを組み合わせたツインチャージャーなのだ。
低回転域ではレスポンスに優れるスーパーチャージャーを作動させ、回転が上昇するに伴いターボも作動。そして、スーパーチャージャーの作動損失が大きくなる4000rpm以上ではターボのみに切り替えることで、全域に渡る高トルクと鋭いレスポンスを実現した。
これにより、最高出力は110psを発揮。リッターあたりに換算すると118psになるほどのハイパワーを誇ったのだ。また、エンジン自体も専用設計で、ベースのMA10Sを930ccに排気量ダウン。これは競技でのクラス分けを考慮したものだった。
翌1989年1月には、マーチRをストリート仕様にリファインした「スーパーターボ」をリリース。当時、巷をにぎわせていたホットハッチたちに挑戦状を叩きつけたのである。
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