小さなクルマを好む人が多い日本。自ずと自動車メーカーも小さなクルマ開発に力を入れるので、優秀なクルマも多くなる。コンパクトで走りのいいマツダ ロードスターもそんなクルマのひとつ。改良されたロードスターに試乗してきた!!
※本稿は2024年2月のものです
文/松田秀士、写真/MAZDA、撮影/平野 学
初出:『ベストカー』2024年3月10日号
■まだまだ伸びしろがあった走りの進化に驚く
ロードスターの商品改良、開発のテーマとなったのは「軽快さと安定性の両立」。正直、軽快さが重要でしょ! 安定性は二の次で。だってロードスターはピュアスポーツなんだから。と思っていたのである、ワタクシ。が、しかし、乗ってみたら意外や意外! となったのだが、その前に改良点を挙げよう。
まず、シャシー領域では電動パワーステアリングの進化、アシンメトリックLSDの採用、モータースポーツ用DSC制御「DSC-TRACK」の追加。
パワートレーン領域は、SKYACTIV-G 1.5Lエンジンの出力向上、新制御によるダイレクト感&レスポンス向上、吸気デバイスによるエンジンサウンドの進化の3点だ。
走り始めてまず感じたのが1.5Lエンジンの伸びのある加速感。わずか4psアップだが高回転域でフリクションがなくなった。しかしエンジンの音質は静かになった。
音質が上品になったのに加え、大きな進化がハンドリングだ。まず1.5LエンジンのロードスターRSはサスペンションが進化したかのように落ち着いた乗り心地。実はサスペンションには手が加えられていない。電動パワーステアリングを進化させているのだ。
■細かな改良の積み重ねでもうワンランクレベルアップ
内容は、ステアリングギアの構造変更によるフリクション低減。これによって微小操舵領域のコントロール性がアップ。
次に従来サプライヤー製だったモーター制御のアシストロジックをマツダ内製化したこと。これによって自由にプログラミングできるようになり、特にステアリングの戻し側制御をより緻密にすることができた。
さらにステアリングのトルクセンサーを容量アップし、アフターでハイグリップタイヤに交換した場合でも充分に対応できるようになった、とのこと。
走り始めはステアリングフィールがしなやかに感じられ、コーナーを攻め込むにつれて操舵に対する応答遅れがないことに気付く。
つまり改めて旧型は遅れがあったことに気付かされるのだ。切り始めの微小操舵からスムーズにノーズが反応するので、速いステアリング操作をする必要がなく速度とコーナーRに応じた操作を自然に行える。
2Lエンジンを搭載するRF(VS)でも同じことが言え、パワーがあるぶん今回の改良の効果は大きい。990Sの登場で、もう完成系だと思っていたロードスター。まだまだ伸びしろがあることに気付かされ、さらにこの次が楽しみになった。
■2Lエンジン搭載のスペシャルモデル開発中
マツダが立ち上げる新ブランド「MAZDA SPIRIT RACING」の第一弾として投入予定なのが、「MAZDA SPIRIT RACING RS コンセプト」だ。
ソフトトップモデルにスーパー耐久参戦で培ったノウハウを注ぎ込んだ2Lエンジンと足まわりを採用したスペシャルモデルとなっている。価格は500万~600万円といった予想だ。
●ロードスター(RS)主要諸元
・全長×全幅:3915×1735mm
・全高:1235mm
・ホイールベース:2310mm
・車両重量:1040kg
・総排気量:1496cc
・エンジン:直4DOHC
・最高出力:136ps/7000rpm
・最大トルク:15.5kgm/4500rpm
・ミッション:6速MT
・価格:374万5500円
●ロードスターRF(VF)主要諸元
・全長×全幅:3915×1735mm
・全高:1245mm
・ホイールベース:2310mm
・車両重量:1130kg
・総排気量:1997cc
・エンジン:直4DOHC
・最高出力:184ps/7000rpm
・最大トルク:20.9kgm/4000rpm
・ミッション:6速AT
・価格:423万7200円
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