■船舶輸送との協業によって解決できないのか?
では、トラック輸送と並ぶもう一方の主力である内航海運はどうなのか?
日本は島国なので、船舶輸送が大いに活用できる地理的条件にある。内航海運の担当は、石油、セメント、自動車など大型・長距離が中心だが、現在注目を集めているのは、大型トラックをフェリーにそのまま積み込む形のモーダルシフトだ。こちらは鉄道への転換よりもはるかに有望だ。
日本長距離フェリー協会によると、フェリーによるトラックの輸送台数は微増傾向にあり、大手運送会社からの問い合わせも増えているという。ただ、北海道便を除けば、フェリーを利用すると所要時間もコストも上昇する。
2023年のフェリーによるトラックの輸送台数は約126万台。新東名の断面交通量が年間2000万台に迫ることから見てフェリーによるトラック輸送が20%増えたとしても大河の一滴感はぬぐえない。
ただ、2024年問題によってドライバー不足が深刻になり、トラックの運賃が上昇すれば、フェリーへの転換も進み、フェリーが新造されて年々輸送量が増える可能性もある。内航海運は鉄道と違って、輸送量を増やす余地が大きい。
そのほか、国はダブル連結トラックの許可や高速道路におけるトラックの後続車無人隊列走行の実験を行っているが、どちらも現在の道路インフラ下では利用が限定され、わずかな効果しか期待できない。
それよりは、荷待ち時間の削減やドライバーによる荷役作業軽減などのほうがモーダルシフトが不可能な近距離トラック輸送にも効果が及ぶ。
結論としては、人手不足が輸送の効率化(モーダルシフトを含む)を促すと同時に、ドライバーの手取り賃金が目に見えて増加し、ドライバー不足そのものが緩和されるところまで行かないと、2024年問題の解決はなさそうだ。
運賃が大きく上昇すれば、物価も目に見えて上がることになるが、それを受け入れないと、モノは運べなくなってしまう。
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