ハイブリッド EV PHEV 4WD…… 欧米車が越えられないと言われ続けてきた日本車の「壁」

■4WDの壁

 4WD王国日本。これほどまで4WDがいろいろなクルマに設定されている国はない。4WDでは欧米を圧倒する存在であり続けているのか?(文:片岡英明)

●スバル レガシィTW vs アウディ A4アバント

スバル レガシィツーリングワゴン(243万6000~369万6000円)……スバルにとってAWDはお家芸だから、どこにも負けることができないが、最近はやや停滞気味?
スバル レガシィツーリングワゴン(243万6000~369万6000円)……スバルにとってAWDはお家芸だから、どこにも負けることができないが、最近はやや停滞気味?
アウディ A4アバントクワトロ(541万~589万円)……アウディは1980年代以降市販車にクワトロを設定。4WDのプレミアムカーというジャンルを構築
アウディ A4アバントクワトロ(541万~589万円)……アウディは1980年代以降市販車にクワトロを設定。4WDのプレミアムカーというジャンルを構築

 スバルもアウディも古くから4WDの優位性に着目し、魅力的な4WDモデルとワゴンを数多く輩出してきた。スバルは1960年代からパートタイム4WDの開発に乗り出し、1980年代にはフルタイム4WDを積極的に市場に送り込んでいる。アウディも同様だ。フルタイム4WDのクワトロをいち早く投入した。

 両社はラリーを中心としたモータースポーツで4WD技術を切磋琢磨。ワゴンの分野で4WD化に先鞭をつけたのはスバル。水平対向エンジンをコアテクノロジーに、シンメトリカルAWDをワゴンに採用し、安全かつ楽しい走りを実現。同じことをアウディも考え、クワトロシステム採用のワゴンを発売する。

 メカニズムの先進性ではアウディが一歩リードしていると思われているが、スバルも負けてはいない。

 アルシオーネSVXには電子制御によって前後輪の可変トルク配分を行なう世界初の4WDメカ、ACT-4を採用。またレオーネの時代からハイトコントロールを採用し、3代目ではエレクトロニューマチックサスも実用化している。4WDにターボなどの過給機を組み合わせるのも早かった。

 アウディはスバルの後追いだが、21世紀になって積極的に過給機を使うようになっている。4WDのメリットを充分に活かせるようになっただけでなく、ディーゼルターボも持っているから環境性能も一級だ。

 スバルはターボをパワー方向に利用し、ミッションもトルコン付きATから電子制御無段変速機のCVTへとシフトした。これに対しアウディはエコ方向に過給機を使い、ミッションもツインクラッチのSトロニックを主役の座に据えている。

 4WDのパッケージングに関してはスバルが大きくリードし、キャビンだけでなくラゲッジは広く、使い勝手がいい。アウディは一時期、広さにこだわったが、今は割り切った。これは課題のひとつといえるだろう。

●壁は越えられたのか?

 スバルはWRC参戦中にアウディを引き離した。4WDシステムを意欲的に開発し、これを量産車へとフィードバック。が、WRCから撤退すると開発ペースが鈍り、その隙にアウディが一気に差を縮め、ついにはトータルの商品性でレガシィやフォレスターを抜き去っている。

 特に後れをとったのが電子制御の分野。最初はスバルがリードしていたが、いつの間にか前に出られている。ただし、その差はわずかだ。また、スバルには4WDに最適なクロスオーバーカーのノウハウが充分にある。この分野ではアウディの先をいっている。高い壁を乗り越えるスバルの発奮に期待したい。

アウディ、スバルとも同時期にWRCで戦っていないが、参戦中に4WD技術が大きく進化
アウディ、スバルとも同時期にWRCで戦っていないが、参戦中に4WD技術が大きく進化

●越えられたか度:90点

■快適装備は日本車

 電動格納式ドアミラーなどは、日本車が先行して普及。便利な機能とわかり、海外メーカーも採用を開始した。安全性を高めるバックモニターも同様。今は海外のクルマもウィンドウの下端が高まって視界が悪く、SUVも増えたからバックモニターを備える。

 越えられないのは収納やシートアレンジ。日本車は豊富だが、欧米は壁を越えられない。

 理由は2つある。まずは日本車ほどニーズがないこと。2つ目は安全対応。上に置いたモノが不安定になるトレイ、事故の際に荷物が乗員に加害性を持つ心配の伴うシートアレンジなどは採用されていない。

●越えられたか度:67点(文:渡辺陽一郎)

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