【スピードメーターの誤差はなぜあるのか?】速度が高めに設定されている理由

ベストカーが過去に行った谷田部のテストでも誤差が出た

2016年3月、GT-RをJARIテストコースで最高速テストを実施。メーター読みで301km/hを出したが、この時も計測器による実測値は292.19km/h <br>
2016年3月、GT-RをJARIテストコースで最高速テストを実施。メーター読みで301km/hを出したが、この時も計測器による実測値は292.19km/h
メーター読みでは301km/hを記録
メーター読みでは301km/hを記録

 注目は、スピードメーター表示が、実速度より低めの誤差については厳しく、逆に高めの表示の誤差については、甘い規定になっていること。言い換えると、スピードメーターは、実際の速度より高めに表示することを、法律で推奨していることになる。

 それは実測テストでも明らか。2016年3月(2016年4月10日号)に高速周回路で行ったベストカー本誌の最高速テストではメーター読みで301km/hを出したが、この時も計測器による実測値は292.19km/hだった。

 そのほか、過去、ベストカーが谷田部テストを行った際はメーター表示180km/hでも、小野ビットの数値は概ね165~170km/h程度。輸入車でも240km/hのメーター表示時に実測220~230km/h程度だった。

 さらに、計器メーカーによれば「メーターの針を動かすモーターの精度を上げることにより誤差を少なくしている」とのことなので、最新のクルマでは法で定められた範囲より、誤差は少なくなってきているものと思われる。

自動車メーカーの見解は?

 さらに主な日本車メーカーに訊ねてみると、実走行速度とスピードメーターの速度表示の誤差の設計値については、基本的な見解として「公表していない」「法規に従っている」との回答が返ってきた。

・トヨタ:「当社として公表できるような数値はございません」
・日産:「メーターの速度表示誤差は公表しておりません。国の定める法規に従って設計・開発しております」
・ホンダ:「いずれの車両も法令に従ったものになっております」
・マツダ:「法規により誤差の範囲が規定されているため、それに収まるよう設計しています」
・ダイハツ:「基本的には開示しておらず(以下略)」
・スズキ:「公表していないため、回答なしとさせてください」

 このように、メーター表示数値と実走行速度に関する誤差は具体的な数値は「法律を遵守したうえで未公表」というコメントが並ぶことになったが、仮に車種ごとに変更されているのであれば、どのように変わるのかなどを確認したいところだ。

進むオートクルーズ上限速度設定の柔軟化

 普段使いのうえでは、クルーズコントロール機能の速度設定機能などで車速を多少なりとも意識することが多い。高速道路などでスイッチの操作で5km/h毎などに速度設定できるこの機能は、多くのユーザーが慣れ親しんでいるはずだ。

 クルーズコントロールを使用した場合の実走行速度とスピードメーターの速度表示の誤差についても付随的に訊ねてみたが、速度計誤差の問題で基本的に回答を得られなかった。

 そこで日本メーカーに加えるかたちで、輸入車のフォルクスワーゲングループジャパン広報部に問い合わせてみた。

 すると、速度誤差設定については、「サービスなどにも確認しましたが、設計公差までのデータは有していないとのことです」とのことだった。

 また「正規サイズのタイヤを装着した状態での速度誤差は極めて少なく、アダプティブ・クルーズ・コントロールではこの自車速度と測定対象車等との相対速度、制動に必要な時間(実際にはクルーズコントロール使用時に安全範囲を担保した上で5段階の車間距離・時間調整が可能)などを、演算に必要なデータとして有効に作動する」とのことだった。

 となれば、タイヤのインチアップ/ダウンする場合には、外径の変化を少なくするために、タイヤの購入時にタイヤメーカーのカタログなどでサイズを確認したほうがよいということになる。

次ページは : クルーズコントロール設定速度の自主規制撤廃!

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