ノートe-POWERが登場したのは2016年の11月、もう3年近く経つ。
ガソリン車のノートを含め、これまでノートは、2017年コンパクトカー販売台数ナンバー1、2018年登録車販売台数ナンバー1という、輝かしい成功を収めている。
勝因は「e-POWERの成功にある」と日産は公言しており、ホームページ上でも「e-POWERが選ばれ続ける理由」を大々的に宣伝している。
しかし、「売れている」と言っても、パーフェクトなクルマなんて世の中にはそうはなく、「弱点」は存在する。元ニッサン開発エンジニアの筆者が日産に忖度なく解説する。
文/吉川賢一
写真/NISSAN、編集部
【画像ギャラリー】ノートは3位にランクイン! 2019年8月度販売台数トップ6
■ノートe-POWERの魅力は本当に刺さっているのか?
【いい点1】素晴らしい出来のe-POWER Drive
日産によると、「ノートe-POWERのキーポイントは、『踏んで驚く』、『緩めて驚く』、『離して驚く』という3度の驚きである」と説明している。幾度かノートe-POWERに試乗した筆者も、「いかにもその通りだ」と思う。
e-POWERの「ワンペダルドライビング」は、センターコンソールのプッシュボタンで「ECOモード」か「Sモード」にすることで可能になる。
アクセルペダルを踏む量によってクルマの加速度を調節し、アクセルペダルを戻すことで減速度を決める、という、シンプルでわかりやすい操作だ。
アクセルペダルを完全にオフにすれば、停止直前ですっとブレーキを抜く、「上級者のブレーキ操作」を自動でしてくれる。自分で制動(位置)をコントロールするほうが、かえってギクシャクしてしまうかもしれない。
【いい点2】一向に減らない航続距離
ガソリン満タン状態のノートe-POWERに乗り込むと、メーターの中央には航続可能距離650kmとの大きな表示。
ところが、100km程度試乗したあとも、ガソリンメーターは、なんと1メモリも減らず、航続可能距離の表示はむしろ増えて、「690km」に。
アクセル操作の仕方で、航続距離が延びることはよくあることだが、ガソリンが(実際は減っているのであろうが)見た目に減らないのは、不思議な感覚だった。
最終的に200km強を走行し、ガソリンメーターは2メモリ減って、航続可能距離の表示は680km、ガソリン消費は8Lとなり、メーター読みの実燃費は、25km/Lと表示されていた。
カタログ燃費は34.0km/L(JC08モード)なので、約25%の乖離。とはいえ、この実燃費のよさは本当に驚異的だ。
【いい点3】操舵が一発でスパっと決まる! ステアリング修正の少なさ
意外にもよく感じたのが、コーナリングシーンでの「きびきび」したハンドリングだ。
ノートe-POWERはコンパクトなボディに、少し高めの全高、e-POWERシステムとバッテリー搭載による車重アップ、そしてこのクラスでは標準的な185/65R16タイヤ(ブリヂストン製)。
これらのスペックから、落ち着いたハンドリングを想像していたが、一般道の中低速コーナーでの応答性は、いい意味で予想を越え、操舵が一発でスパっと決まる、気持ちのいい応答を示してくれた。
コーナリング中に操舵角を探るような「ステアリングの修正」も少なく、きびきびしているが落ち着いた、安心感のあるハンドリングだ。筆者は少し、ノートe-POWERを甘く見ていたようだ。
コメント
コメントの使い方