大排気量のFR車のMT車といえば、泣く子も黙る1JZ‐GTE型2.5L、直6エンジンを搭載したX100系チェイサーツアラーVが大人気。今では220万~470万円と高騰中だ。たしかに高いが、それだけの価値はあるのだろうか?
文:ベストカーWeb編集部/写真:トヨタ、ベストカーWeb編集部
■2.5L、直6+FRをMTで操る楽しさって代えがたい
トヨタ車のなかでは、直6が一番いいと思っている。なかでも直6の名機1JZ-GTEを搭載したX100系チェイサーツアラーVが印象深い。特に5速MT車のおもしろさは正直セダンだから舐めてかかっていたから、試乗した時にはタマげたことを思い出す。
1JZ-GTE型は、トヨタ社内で開発されたJZ系をベースにヤマハ発動機が開発および生産した2.5Lの直列6気筒ツインターボ付きエンジン。
第一世代では2.5Lの直列6気筒DOHCにトヨタ製CT12型セラミックターボチャージャー2基を組み合わせ、当時の自主規制の上限値280psを最小排気量で実現していた。
それでいて、軽量なセラミックタービンにより良好なアクセルレスポンスを有し、さらに、当時としてはターボラグが極めて小さいという、まさしく名機だった。
1996年10月に登場したX100系から第二世代となり、可変バルブタイミング機構とCT15B型シングルターボチャージャーとなる。280psの最高出力は変わらないものの、フルカウンタークランクやセミ鍛造ピストン、メタルヘッドガスケットなど、高強度のパーツが使われており、エンジンの耐久性は高かった。
軽量なセラミックタービンによる鋭いレスポンスと、当時としては圧倒的に少ないターボラグが魅力で、排気音の美しさについても定評があった。
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もちろん2JZ-GTEの80スープラも捨てがたいが、いまや中古車の価格は1000万円オーバーの世界だからどう考えても手が出ない。
とはいってもX100系のチェイサーツアラーVの中古車価格帯も220万~470万円と爆上がりをしている。流通台数は61台あまりで400万円を超えると走行距離がひと桁kmのクルマも出てくる。当然、ドリ車が多く、修復歴あり、15万kmを超えたクルマも多い。
2021年には“25年ルール”により最初期の1996年式チェイサーツアラーVが北米で輸入できるので、程度のいいクルマはどんどんアメリカに輸出されてしまう。
D1グランプリやフォーミュラドリフトの影響でアメリカではセダン系では人気を保ち続けている。実際、2020年あたりには150万~250万円ほどで探せた。
直6ならではのスムーズなエンジンフィールと、過給による爆発的な加速、そして甲高いエキゾーストノートなど、これは……、買って損はないと思う。やはりトヨタの直6+FR+MTの魅力は新車当時の走りを思い出す度に欲しくなってしまう。特にあの音は病みつきになる……。
過去にチェイサーツアラーVを購入する際に気をつけなければいけないポイントをGTスポーツ系に強いチェイサーツアラーV専門店の「CAR工房」に聞いた内容を改めて紹介しておこう。
「1JZ‐GTEエンジン自体は非常に丈夫ですが、純正部品の一部は廃番となっています。メインコンピューターの多くは液ダレを起こし始めていて、それが原因のハンチングやエアコンの誤作動などが多発しています。基盤が壊れてしまってからでは修理不能なので正常に機能しているうちにリフレッシュ作業をすることをお勧めします」。
またサブスロットルコンピューターはすでに新品部品としては出てこないが、これが劣化するとTRCやETCSの警告灯が付いてしまう不具合も多発しているという。
いずれにしても新車の発売から19年以上も経っているクルマなので、メンテナンスに強い中古車店で購入することをお勧めしたい。あ~、お金があれば乗ってみたい!
■JZX100系チェイサーツアラーV主要諸元
●ボディサイズ:全長4715×全幅1755×全高1400mm
●ホイールベース:2730mm
●車両重量:1470kg
●エンジン:1JZ-GTE型直6DOHC 24バルブターボ
●総排気量:2491㏄
●最高出力:280ps/6200rpm
●最大トルク:38.5kgm/2400rpm
●サスペンション前/後:ダブルウィッシュボーン/ダブルウィッシュボーン
●タイヤサイズ:前/205/55R16、後/225/50R16
●価格:5速MT/322万2000円、4速AT/329万円(1996年10月当時)
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