現行型ハイエースは、乗車定員を重視したハイエースワゴンが3グレード用意されている。送迎車やバスとして使われることの多い車両だ。ただ、100系のハイエースに目を向けると、「ラグジュアリー・フルスペース」を掲げるハイエースがあった。今回はそんな豪華なハイエースを振り返っていく。
文:佐々木 亘/写真:トヨタ
■ハイエースを乗用車として使っていたよね?
現代において、ハイエースをマイカーにするとなると、商用ラインナップにあるスーパーGLを選ぶことが多いだろう。乗用車なりには仕上がるが、それでも商用バンとしての雰囲気は残り、乗用のマイカーとして選択するのには少し勇気がいる選択だ。
しかし、100系の時代に遡ると、きちんと乗用にするためのハイエースが展開されていた。それがハイエースワゴンである。
ボディサイズは全長4,690mm×全幅1,690mm×全高1,960~1,990mmで、乗車定員は7名と8名が準備されている。
エンジンは1KZ-TE型の3.0Lディーゼルターボ。燃料タンク容量は70Lで、10・15モード燃費は9.5km/Lを記録する。1回の満タン給油で600km以上を走行できるのは、ロングドライブの強い味方であった。
この時代のハイエースは、商用バンとしての顔はもちろん、乗用ワゴン(今でいうミニバン)としてのキャラクターもしっかり根付いていた。特に最上級グレードのスーパーカスタムリミテッドは、5名以上の大人数ファミリーに人気があったグレードだ。
その驚くべき高級感と機能美を見ていこう。
【画像ギャラリー】これがハイエースの内装か? 元祖グランエースのハイエース スーパーカスタムリミテッドの内装を是非(16枚)画像ギャラリー■3列目シートまでしっかり座るならアルヴェルよりも快適かも
今回は特に人気の高かった7名乗車モデルを詳しく取り上げていく。
乗車形態は2×2×3の7名となり、2列目はキャプテンシートだ。この時代特有の装備とも言える回転シートとなっている。
現在主流のアル/ヴェルやノア/ヴォクと大きく違うのは、2列目シートではなく3列目シートが前後スライドする点だろう。
床下格納や跳ね上げ機構などが付かず、シートバックを折りたたむだけの格納となるサードシートは、補助席的な位置づけではなく、しっかりと座るためのシートだ。座面は長く厚く、シートバックの高さも十分にある。
6人が3列に分かれて乗車するなら、全席が現行型のアル/ヴェルを凌ぐ座り心地だ。3列目を常時使うために購入するクルマが、ハイエースワゴンだったのである。
【画像ギャラリー】これがハイエースの内装か? 元祖グランエースのハイエース スーパーカスタムリミテッドの内装を是非(16枚)画像ギャラリー■ハイエースの中にクラウンが載ってるぞ
本革+木目調のステアリングはもちろん、ルーフにはトリプルムーンルーフを備え、後席用のオーバーヘッドデュアルオートエアコンもある。室内の目隠しになるカーテンも電動というこだわりようだ。
また、AC100V(100W)ながらアクセサリーコンセントを、フロントコンソールボックスとサードシート前部のサイドトリムに用意するのも、この時代としては珍しい。
スライドドアはもともと助手席側にしかないが、電動になっているし、バックドアのイージークローザーも付いている。運転席はパワーイージーアクセスシステム付きと、ハイエースのボディにクラウンの中身が載っているような作り込みだ。
2004年のフルモデルチェンジで、アルファードへ統合されて消えてしまったハイエースワゴンのスーパーカスタム。キャブオーバーの高級ワゴンが消えてしまったのは、少々残念である。
個人ユースとしてスーパーGLが好調に売れていることだし、高級ハイエースも需要アリではないだろうか。是非ハイエースの改変時期には、100系ワゴンのスーパーカスタムのような高級仕様が復活することを期待したい。
【画像ギャラリー】これがハイエースの内装か? 元祖グランエースのハイエース スーパーカスタムリミテッドの内装を是非(16枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方