これまでの両社の間に繰り広げられたのは闘いの歴史だ。1982年の2代目プレリュードによりデートカーというジャンルを構築したホンダ。3代目も王道を突き進むなか、その牙城に挑んだのがS13シルビアだった。
※本稿は2024年8月のものです
文:小沢コージ/写真:ベストカー編集部、日産、ホンダ
初出:『ベストカー』2024年9月26日号
■3代目ホンダ プレリュード vs 日産 シルビア(S13)
1980年代、伸びる新芽の如きホンダと迎え撃つ老舗日産。その象徴のひとつがこのデートカー対決だった。なぜなら両車にはメーカーの勢いであり、コンセプトの差が明快に現われていたからだ。
そもそも古典的なFR骨格を否定し、FFで行けるとこまで行く先進のホンダは本来実用車向きのFFプラットフォームで、なかば無理やりスタイルや走り優先のスタイルクーペを作った。
その頂点がひとつ前の2代目プレリュードで、FFなのにフェラーリより低いボンネット、スーパーカー顔負けのリトラクタブルライト、フロントダブルウィッシュボーンで超ぺったんこスタイルを形成して大成功!
運転席から寝かせられる助手席リクライニングもあり、当時のデートカーの寵児に。憧れのカーS〇Xも予感させた。
3代目はその進化版でサスはリアまでダブルウィッシュボーンになり量産車初の機械式4WSまで搭載。リトラは踏襲してキープコンセプト。
結果売れたが2代目の勢いはなくサスストロークの少なさから来る這うような走り味やモータースポーツには使いづらいFFの欠点が徐々に出始めた。
一方その虚を突いたのがS13シルビアで、リトラはないが樹脂性グリルを使ったモダンマスクや、ある種王道を行く美麗フォルム「アートフォースシルビア」を採用。同じくアート造形インテリアもウケた。
さらに知見を生かしたリアマルチリンクのFR骨格やパワフル直4ターボもウケ、ドリ車のベースとしても人気に。ここは老舗の技と客層で新興をなんとかねじ伏せた形に。
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