WRCにレガシィを投入し初優勝、1995年にはインプレッサで世界の頂点に立つという、まさにラリーのスバルとはこのことだ。そんなスバルはよく、水平対向エンジンとアメリカ市場に頼りきりと言われているのだが、裏を返せばこれはスバルらしいとも言えなくはない。電動化によって激動している自動車業界。数年後も「スバルらしさ」を貫けるか?
※本稿は2024年8月のものです
文:佃 義夫、国沢光宏、西村直人/写真:ベストカー編集部、スバル ほか
初出:『ベストカー』2024年9月26日号
■現在の方針から見たスバルの5年後の経営状況
スバルと言えば、1960年代に誕生した水平対向エンジンが多くの「スバリスト」を魅了し、世界に通用する走りが独自性だ。
トヨタの佐藤恒治社長、マツダの毛籠勝弘社長とともに、2023年の同時期に就任した大崎篤社長は新体制経営方針で「スバルらしさ」の追求として脱炭素社会に向けた環境対策、2030年死亡事故ゼロを目指す安全性能、電動化時代でも変わらない動的質感を挙げた。
具体的な2030年の電動車目標はBEV50%で、全世界販売120万台に対してBEV60万台とする。
一方、新時代エンジンで固有の水平対向エンジンを生かして新たにハイブリッド機構を組み合わせる。スバルの2030年戦略の推進にあたっては、トヨタとの連携が欠かせないものとなる。
スバルとトヨタは2026年末までにBEV4車種を相互供給することになっており、HEVもトヨタから部品供給を受けて開発する「次世代e-BOXER」を投入する。
スバルは、年間約100万台のグローバル販売のうち7割が米国市場に偏る「米国一本足打法」だけに「米国が風邪をひく」と経営に大きく影響する懸念がある。トヨタ連合の強みを中長期に生かせるかだ。
(佃 義夫 佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆)
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スバルは「それでいいのか?」と言えるほどのアメリカ一本足打法になっている。2023年の総販売台数85万台のうち、日本で売れたのは10万台。アメリカが59万台! しかも日本から51万台も輸出してます。アメリカ戦略でミスをしたら相当厳しい。円高になっても相当厳しい。
2010年くらいまでのスバルは欧州や豪州など世界でバランスよく売れていたことを考えると、今やまったく違う収益体制のメーカーになってしまった。当然ながら新型車=アメリカで売れるクルマということになる。
5年という期間で新型車を見ると、直近の2年はフルハイブリッドの横展開だろう。新型フォレスターに搭載されるユニットを横展開していく。
もちろんアメリカだけでなく日本でも搭載車種を増やしていくと思うが、その場合、価格をどうするか。今やアメリカと日本の収入差は3倍。アメリカ人は気軽に買えても、日本人からすれば「う~ん」になるかも。
スバルの場合、フルハイブリッドでエンジン車は打ち止めになる。2027年あたりから出てくる電気自動車でクルマ好きの期待に応えてくれるだろうか?
●期待値:50/100 日本にも目を向けたクルマと価格設定を! あとはBEV頼りか?
(国沢光宏)
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