タイヤの進化や補修キットの普及もあり、『パンクを起こして路上でタイヤ交換』といった光景を見る機会はめっきり減った。
「長らくパンクには遭遇していない」、「パンク修理はしたことがない」。そんな方も多いハズ。
ある“実例”を交えながら、パンクの疑問を解消しよう!
文:WEB編集部
写真:編集部、shutterstock.com
大抵のパンクは気づかない
とある取材後のこと。いつものように洗車をしにガソリンスタンド(GS)に向かうと、店員さんから「タイヤ、パンクしてますよ」とひと言。タイヤに釘が刺さっていたのが、その原因だった。
指定空気圧2.3kg/cm2のところ、GS到着時点でパンクした左リアタイヤの空気圧は0.8kg/cm2まで低下していた。それでも、スタンドの店員に指摘されるまでパンクには気づかなかった。
自転車でパンクを起こした場合、明らかにペダルが重くなったり、路面からの振動を拾うなど、比較的パンクに気づきやすい。ところが、車の場合そうはいかない。
自動車評論家の鈴木直也氏は、自身の経験を交えながらこう語る。
「以前、四輪のうち一輪の内圧を0.5程度まで落とし、どこのタイヤがパンクしたかを指摘するテストを行ったけれど、少しステアリングを左右に振ってようやくわかるぐらい。空気がほぼすべて抜けていたとしても、一般道を60km/h程度で走っている状態だと、一般のドライバーがパンクに気づくのは難しい」
では、どこまでの状況になると、“ようやく”パンクに気づくことができるのか?
「一般のドライバーなら、『ゴトゴト』とか『ガタガタ』といった異音で、パンクに気づく場合が多いでしょう」
異音が発生しているということは、恐らくタイヤに残された空気はごく僅か。パンクに気づいた時には、その症状はかなり進行している可能性が高い。
ブリヂストンに聞くパンクの対処法
では、パンクに気づいたらどう対処すべきなのか?タイヤメーカー最大手、ブリヂストンの回答は以下のとおり。
Q1.パンクが起きたら、ドライバーはまず何をすべきでしょうか?
A1.落ち着いてハザードランプを点灯させ、安全に車両を路肩へ停車するべきだと考えます。
Q2.パンクといっても軽度のものからバーストなど重度なものまでさまざまです。パンクの種類によって適切な対処法は異なりますか?
A2.いずれのパンクも落ち着いて減速し、まずは安全に車両を停車させることが重要と考えます。
Q3.ランフラットタイヤでパンクが起きた場合、どのように対処すべきでしょうか?
A3.ランフラットタイヤは、空気圧0kpa時に80km/hで80kmまで走行可能です。そのため落ち着いて安全な場所まで移動することを推奨します。
Q4.近年、パンク修理キットを搭載する車が増えています。修理キットでパンクの処置をした後に、新しいタイヤに交換する必要はありますか?
A4.できるだけ速やかに新品タイヤへの交換をおこなうなど、恒久的な修理が必要と考えます。
停車は「パンクの状態確認」のため
回答で気になる点を整理していこう。まずはA2.に関して。ここでいう「安全に停車させる」とは、単にどんなパンクでも停車させて救援を待てという意味とは少し違う。
「お客様がタイヤに違和感を感じて停車した時には、すでにタイヤは内面的にダメージを受けている場合が多いと考えています」
「だからこそ、まず安全に車両を停車させるのは、パンクの程度を確認するために重要なのです」
一旦停止してタイヤの状態を見たうえで、パンクが軽度なら修理キットを使う、自宅やガソリンスタンドが近いならそこまで行くといった判断もできるということだ。
修理キットはどう使うのが正しい?
A4.でブリヂストンは「できるだけ速やかに新品タイヤへの交換を」と回答している。では、パンク修理キットはどう使うべきか?
「明確にお答えできなかったのは、パンク修理キットの種類によって、使える傷の部位や直径などが異なる場合があるからです」

一般的に見れば、細い釘一本程度で起きたパンクなら、パンク修理キットで補修可能な場合もある。ただし、補修可能な場合でも、「パンクが直った!」とそのまま放置するのはNGだ。
「エア漏れが収まっていても、タイヤ内面が損傷していれば、結局はいつタイヤが壊れてしまうかわからない状態なのです」
人間だって風邪や病気にかかり、一時的に症状が回復しても、きちっとした検査を受けなければ、本当に病気が治ったかどうかわからない。それと同じで、タイヤもプロの“検査”が必要というわけだ。
【まとめ】パンクの対処法 3ステップ
パンクについての対処法をまとめると……
1.(パンクの状態を確認するために)まずは車を安全に停車すべし
2-1. 【パンクの状態を判断する自信がない、パンク修理キットの補修範囲を超えている場合は……】迷わず、JAFなどロードサービスを呼ぶべし
2-2.【パンク修理の経験や自信がある、パンク修理キットの補修範囲に該当する場合】パンク修理キットやテンパータイヤなど、付属の応急処置を施す
3.(2-1、2-2どちらの場合でも)速やかに最寄りのタイヤ販売店、ガソリンスタンド等で、タイヤ交換など持続的に走行するための修理をおこなう
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パンクはいつ、何時起こるかわからず、状況もまちまちだが、まずは1〜3の対処法をベースに臨機応変に対応してほしい。備えあれば憂いなしだ。


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