■先入観にとらわれず本当の割安を見極めることが重要だ
マツダ2(旧デミオ)にも同様のことが当てはまる。ノーマルエンジンを搭載した上級グレードの15S・Lパッケージは205万2000円だから、フィット13G・Lホンダセンシングに比べて約40万円高い。
しかしレーダークルーズコントロールなどはオプションになるものの、マツダ2にはハイビーム状態を保ちながら対向車などの眩惑を抑えるアダプティブLEDヘッドライト、360度ビューモニター、運転席の電動調節機能などが備わり、シート生地には本革も使われる。
合成皮革のインパネにはソフトパッドが入り、質感はミドルサイズセダン並みだ。
さらに7インチWVGAセンターディスプレイが標準装着されるから、ナビゲーション用SDカード(4万8600円)を購入すれば、カーナビとしても機能する。
エンジンは1.5Lで直噴式だから、1.3Lのフィットに比べると動力性能も上まわる。このような機能と装備の違いを考えると、マツダ2が割高とはいえない。
以上のような計算が成り立つ根本的な理由は、標準装着される装備が驚くほど安く採用されていることだ。
例えばタントの助手席に装着するラクスマグリップは、ディーラーオプションで装着すると8618円だ。これと同じ助手席用ラクスマグリップが、購入時にメーカーオプションで付けた場合は3240円で済む。
同じ装備なのに、工場で装着されるメーカーオプションは、ディーラーオプションの40%以下と安い。同様の装備が標準装着されれば、一層安く付けられる。
このように標準装着品は、一般的なイメージよりも大幅に安いから、装備の多い上級グレードほど割安感が強まって当然だ。高価格だと思って装備を慎重に確かめると、意外に割安だと分かることも多い。
ただしその一方では、本当に価格を割高にした車種やグレードもあるからややこしい。注意したいのは上級車の上級グレードだ。
ユーザーが価格の割安感を気にしないことに付け入り、価格を割高にして、しっかり儲けようとする場合が多い。
従って価格の割安感は、機能と装備のバランスを精査しないと分からない。クルマを選ぶ時は、同じカテゴリーに属するライバル車同士で、エンジンの排気量、動力性能、車内の広さ、シートアレンジ、安全&快適装備の内容を比べてみたい。
安いと思っていた車種では、緊急自動ブレーキ、サイド&カーテンエアバッグ、LEDヘッドランプなどがすべてオプションで、これらを加えると価格が20万円以上高くなることもある。
ハイブリッドやクリーンディーゼルでは、税額の違いに注意したい。特にクリーンディーゼルは、燃費数値などに関係なく、エコカー減税が免税になる。環境性能割を導入する消費増税後も同様の措置が続く。
そうなると例えばマツダ3(旧アクセラ)の場合、クリーンディーゼルの価格は2Lガソリンに比べて27万円高いが、税額の違いを含めると差額が17万円まで縮まる。
高いと思っていたパワーユニットが、税額の違いで割安に感じられることもあるわけだ。
先入観に捕らわれずに価格を精査して、本当の割安感を判断したい。
【渡辺陽一郎選 高く見えて割安なクルマ&価格が高くなりがちな車種】
■高そうに見えるけれど意外に割安な車種
・インサイト
・マツダ2
・フォレスターアドバンス
■オプションが多いこともあり価格が上昇しやすい車種
(「今はクルマが売れず目立って割高な車種は減りました。自信を持って高値を付けているのはトヨタだけ」と渡辺氏)
・プリウスPHV
・クラウン
・アルファード&ヴェルファイア
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