11年経過した2025年でも現役!! 日産 V37「スカイライン」デビュー時徹底レポートプレイバック【ベストカーアーカイブス2014】

■FRスポーツセダンとして新型スカイラインはどう評価されるのか?

新型スカイラインは2月28日現在約4200台の受注。一番人気は2WDの「タイプP」で約38%、続いてタイプSPが約30%。ボディカラーはクリスタルホワイトパールが約29%、HAGANEブルーが約19%、スーパーブラックが約14%となる
新型スカイラインは2月28日現在約4200台の受注。一番人気は2WDの「タイプP」で約38%、続いてタイプSPが約30%。ボディカラーはクリスタルホワイトパールが約29%、HAGANEブルーが約19%、スーパーブラックが約14%となる

 いろいろな意見はあろうが、新型V37型スカイラインは、乗って走り出せば、間違いなく速い! そこに口を挟み込む余地などいっさいない。

 それと、大いに気になっていた「ダイレクト・アダプティブ・ステアリング」だが、おそらく、前もって「それ」と知らされていなければまったくわからないほど自然なフィーリングであった。

 ハンドルを回した操作が電子制御されたアクチュエーターの動きに置き換えられてタイヤが操舵されているとは思えない。操作に対してダイレクトにタイヤは反応するし、微妙な操舵に対しても緻密に反応する。

 細かいうねりやギャップなどといった路面からのちょっとした情報は、大きなキックバックは弱めつつ、必要な情報は伝わってくるので、ドライブフィールに違和感はなかった。

 ステア操作をECUが演算処理をして、アクチュエータが実際にタイヤを動かすのだから、操舵力や操舵に対するタイヤの切れ角(ステアリングギア比)などは電子制御で自在にセッティング可能。

 コックピットのスイッチでスタンダードモードからスポーツモードに切り替えると、グッと操舵力が増してセンター付近のレスポンスがシャープになる。ちょっと“重すぎ”にも感じたが、ジワリと切り込むような操作には、この重さが具合いいのだ。

 搭載する3.5LのV6エンジンは306ps、35.7kgmを発揮し、そこに68‌ps/29.6kgmのモーターが組み合わされるのだから、速くないわけがない。システム出力は364psを発揮する。

 パワースペックは、同じハイブリッドユニットを搭載するフーガハイブリッドとまったく同じである。フーガハイブリッドの車重は1840kg、いっぽうスカイラインは1800kgと40kg軽いので、そのぶんも含めて、体感的にはスカイラインのほうが力強い加速を味わえる。

フーガハイブリッドはスカイラインよりもひと回り大きなボディで車重も1840kg
フーガハイブリッドはスカイラインよりもひと回り大きなボディで車重も1840kg

 旧型V36型と比べるとどうか!? トップレンジの3.7Lエンジン搭載モデルは330psの最高出力に最大トルクは36.8kgm。エンジン本体のパワーは旧型が上だが、モーターの加わる新型がシステム出力では上回る。

 実際に走ると、動力性能ではむしろ旧型が力強く感じる。

 直接タイムを取って比較したわけではないので、あくまでも体感的なものだが、明らかにV36型370GTのほうが軽快でパワフルだし、エンジンの吹け上がりも気持ちがいい。

 ハイブリッド専用車となった新型の車重1800kgもあり、V37型に対し約200kg重くなっているのだ。これが大きく影響をしている。V37は「重たいカタマリを圧倒的な力でグイグイ動かしている」という印象なのだ。

V37スカイラインの価格は449万6100円~、最上級の「タイプSP」は526万4700円。BMWの320dの価格帯(482万~526万円)とほぼ同じ。さて、どっちを選ぶか?
V37スカイラインの価格は449万6100円~、最上級の「タイプSP」は526万4700円。BMWの320dの価格帯(482万~526万円)とほぼ同じ。さて、どっちを選ぶか?

 高速道路の巡航からの追い越し加速では上記で触れたとおり、『停止していたエンジンをモーターで再始動させて、クラッチを切り替えて加速体制に入る』動作にコンマ何秒かのタイムラグが発生するため、ちょっともどかしさを感じる場面もある。

 いっぽう、山道などでエンジンが常に稼働しているような運転状態では、アクセル操作に対し、即座にエンジン/モーターが反応するためキビキビした走りを味わえる。

 このあたり、THSIIを搭載するレクサスIS300hよりもパワフルだしダイレクトにエンジンの動きを操ることができるので、スポーティな走りを楽しめる。THSIIはどうしても「アクセルペダルとエンジンの間にワンクッション緩衝材が入っている」印象なのだ。

BMW320dに搭載されるディーゼルターボは直列4気筒で1995cc。最高出力は184psだが最大トルクは38.7kgmを1750rpmで発揮する。このトルクはスカイラインをも凌ぐ!
BMW320dに搭載されるディーゼルターボは直列4気筒で1995cc。最高出力は184psだが最大トルクは38.7kgmを1750rpmで発揮する。このトルクはスカイラインをも凌ぐ!

●同じ3.5Lハイブリッドを搭載するフーガハイブリッドとNEWスカイラインはどう違う!?

 新型スカイラインに搭載されるハイブリッドユニットはフーガハイブリッドに搭載されるものとまったく同じ。システム出力364psという数字も含めて、パワースペックはフーガとスカイラインはまったく同じだが、制御チューニングの違いによりスカイラインの方がよりパワフルでシャープ。

 具体的には、追い越し加速時の「エンジン再始動→モーターアシスト→加速」のタイムラグを低減するとともに、モータートルクの立ち上がりを大きくしてパワフルな加速力を出しているという。また、スポーツモードではエンジンが停止する領域を少なくして、タイムラグそのものが発生しないようにしているのだ。

●新型スカイラインは「FRスポーツセダン」なのか!?(自動車評論家・松田秀士の意見)

 基本的にはとてもよくまとまっているスポーティセダンです。同じ3.5Lハイブリッドを搭載するフーガと比べて、追い越し加速時のレスポンスやトルク感など大いに改善されているし、エンジンサウンドは心地よく、振動も少なくパワーユニットに不満はありません。

『ダイレクト・アダプティブ・ステアリング』については、ボクは“スポーツモード”が操舵力やゲインの立ち上がりに自然さを感じました。“スタンダード”モードはやや軽すぎることと、戻しの際にイナーシャを感じる場面がありましたが、スポーツモードではそのようなことはなく、操舵に対する切れ込み方など自分好みの動きをしてくれます。スポーティで楽しいクルマです。

 アッパーミドルサイズのFRスポーティセダンとして評価するなら、新型スカイラインは充分に高く評価できるクルマです。

FRスポーティセダン採点チェック!
FRスポーティセダン採点チェック!

*     *     *

「ハイブリッドではないスカイライン」も試してみたいぞ!

次ページは : 【番外コラム01】世界初の操舵システム「ダイレクト・アダプティブ・ステアリング」 どんな走り!? どんなフィーリング!?

PR:かんたん5分! 自動車保険を今すぐ見積もり ≫

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

JMS2025に出なかった大物たちの行方は?最新の注目車対決10番勝負『ベストカー12.26号発売!』

JMS2025に出なかった大物たちの行方は?最新の注目車対決10番勝負『ベストカー12.26号発売!』

ベストカー12.26号 価格590円 (税込み)  あの「ジャパンモビリティショー2025…