1/ヤリスのポイントは?(エクステリア、インテリア)

フロントデザインはトヨタが共通化を進めているキーンルックですが、サイドからグリルに向かって絞り込むような流れを入れたことで、フロントはシャープで凛々しいスタイリングになりました。
また、陰影のついたリアフェンダー周りや、リアウィンドウからテールランプ周りまでをブラックで統一したことで、小気味良く走りそうなオーラが出ている秀逸なデザインです。
5ナンバーサイズということもあり、インテリアに広さは感じられませんが、運転席の周囲は、凝縮されたコクピットのような印象を強く感じます。
ステアリングには調整量の大きくとれた、チルトとテレスコピックが設定されており、体格に合わせたドライビングポジションが決めやすいです。
また大型のディスプレイオーディオの位置が、ダッシュボード上の高い位置に配置されており、運転中の視線移動量が少なくてすみます。


エアコンのスイッチ類も、タッチパネル式ではなく、物理的なダイヤルが用意されており、視線を動かさずに触感で探ることができるなど、抜かりなく織り込まれています。
前席シートはシンプルなデザインながら、腰周辺のサポート性が良く、背もたれクッション側に付けられたラウンド形状の効果もあって、背中が受ける面圧を分散できます。そのため、長距離運転をしても、比較的疲れにくいといった特徴があります。

リアシートの居住性ですが、ほぼ同じ時期にデビューした新型フィットと比べてみると、さすがに狭く感じます。でも前席に身長165cmの筆者が座って、膝前空間にこぶし1つ半、頭上空間もこぶし半分ほど入りますので、窮屈というほどではありません。
新型フィットはファミリー向け、それに対して、新型ヤリスは上にアクアがありますので、新型ヤリスは走りを中心に考えた、必要充分なパッケージングを取ったと考えることができるでしょう。
2/試乗してわかった、このクルマのココが凄い、ココがダメ
良い点(1)ファントゥドライブ! ハンドリングが軽快な快速コンパクトカー

車重1090kgと、ハイブリッド車にしては軽量なボディのおかげで、コーナーへのターンインや、旋回中のステアリング切り増し操作にも、クルマがしっかりと応答してくれる、素晴らしいハンドリング性能を持っています。
加速は力強く滑らか、かつ旋回中のブレーキングも安定しており、安心感と楽しさを持ち合わせています。
コーナリング中にあるギャップを乗り越えた際など、若干タイヤが跳ね上げられる印象はあるものの、揺れのおさまりが速いので、ロールやピッチングといったボディモーションが小さく感じられ、安心感が高いです。
今回、大人3人+機材(約30kg)を乗せて、小田原から沼津方面まで、箱根の山を越えるドライブをしてみましたが、中低速からアクセルペダルを踏み込めば、力強いサウンドとともにそれなりの加速をします。
登坂ではエンジンがしきりにかかりますが、エンジンのサウンドやフィーリングは悪くはなく、小気味良く加速ができることは、非常に良い点です。

良い点(2)コンパクトカーなのに、高速走行時の安心感が高い!
先進運転支援を使わずとも直進性が高く、ステアリングに手をそっと添えているだけで、真っすぐに走ります。
自然なフィーリングに設定されたEPS(電動パワーステアリング)の恩恵もあり、ステアリング中央に戻される復元力が強いことも影響しています。
また、先進運転支援を入れれば、コンパクトカーであったことを忘れるほどに、高速走行時の安心感が得られます。
なお、LTA(レーントレースアシスト)には、走行車線の中央を狙って走るモードと、走行車線を外れそうになるとステアリングが戻されるモードの2パターンが用意されており、ドライバーの好みで設定できますので、LTAの動作が煩わしい方には、後者をお薦めします。
良い点(2)実燃費でも30km/L越え。燃費を悪くしようにも悪くできない!?
新型ヤリスのハイブリッド車は、走行中にエンジンを停止できる速度上限が、これまでの70km/hから130km/hまで引き上げられており、高速道路巡行中は、アクセルペダルを戻すとエンジンが停止し、モーター駆動となります。
試乗時の燃費は、高速道路走行にて30.5km/L、箱根の山を上り下りした最終燃費でも25.5km/Lを記録するなど、まさに驚異的でした。
■ヤリスハイブリッドZのWLTCモード燃費カタログ値(185/60R15タイヤ+6J×16スチールホイール・樹脂フルキャップ)
・WLTCモード燃費:35.4km/L
・市街地モード燃費:35.5km/L
・郊外モード燃費:38.5km/L
・高速道路モード燃費:33.6km/L
■試乗車には185/55R16タイヤ+6J×16アルミホイールを履いているため、WLTCモード燃費カタログ値は以下になります
・WLTCモード燃費:32.6km/L
・市街地モード燃費:32.7km/L
・郊外モード燃費:35.3km/L
・高速道路モード燃費:30.8km/L
■パワートレインの種類
●1.5L、直3ハイブリッド 91ps/12.2kgm(エンジン)+80ps/14.4kgm(フロントモーター)。4WDは+リアモーター(5.3ps/5.3kgm)
●1.5L、直3NA 120ps/14.8kgm
●1L、直3NA 69ps/9.4kgm
■WLTCモード燃費
●1.5L、直3ハイブリッド ハイブリッドX:36.0km/L、ハイブリッドG:35.8km/L、ハイブリッドZ:35.4km/L
●1.5L、直3NA Z、X:21.6km/L(CVT)、G:21.4km/L(CVT)、6MT(Z、G、X)は19.6km/L
●1L、直3NA 20.2km/L(G、X、X”Bパッケージ”のCVT)
※WLTC燃費はすべてFFの数値
気になる点(1)ACCとLTAが時速30km/h以下になるとカットされる
ヤリスにも当然、渋滞時の自動追従システムがあるものだと考えていましたが、意表を突かれました。
6速MT仕様を設定していることでシステムの作り分けが大変だったのか、カメラやセンサーなどにかかるコストがネックだったのか、理由は分かりませんが、
ACC(アダプティブクルーズコントロール)とLTA(レーントレースアシスト)が時速30km/h以下になるとカットされるには意外でした。
競合車である「ホンダフィット」には標準装備されており、ホンダは軽自動車にもつけています。次のヤリスのモデルチェンジまで、6、7年このままで売るつもりなのでしょうか。
気になる点(2)欧州車系のクルマと比べ、ドアを閉めた時の音が安っぽい
ドアヒンジ構造やドアパネルの高剛性化、ウェザーストリップの形状やドアストライカーの対策など、ドアを閉めた時の音の改善は、トヨタの技術力であれば、問題なくできるはずです。ヤリスは、海外でも売る世界戦略車です。
ヤリスから、金属同士がはまり合うような「ジャギッ」という剛性の高さを感じるドアの閉まる音が聞こえたら、それだけでポイントをつけたくなるでしょう。
気になる点(3)右足の足置きも欲しかった!
ACCやLTCといった先進運転支援技術は、長距離移動の必須装備として、ますます装着率があがっていくと考えられます。
ACCを入れたあとは、アクセルペダルの上で右足を軽くのせるよりも、右側のタイヤハウス裏側に足を置きたくなるのは、筆者だけでしょうか。
VWゴルフにあるような、立派な右足用のフットレストは必要ありませんが、2、3cmの平面を作ってもらうだけでもいいのです。ちなみに新型フィットには、右足を置くエリアが用意されています。
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