まるでランエボのように曲がる! 雪道試乗で見えたエクリプスクロスPHEVの素性のよさ

まるでランエボのように曲がる! 雪道試乗で見えたエクリプスクロスPHEVの素性のよさ

 三菱自動車は、デザインを一新しプラグインハイブリッドモデルを新たに設定した、新型「エクリプスクロスPHEV」を、2020年12月4日から発売開始した。

 スタイリッシュなクーペフォルムとSUVのクロスオーバーSUVとして、三菱が得意とする4WD制御を武器に登場し、国内外で人気があるエクリプスクロス。

 今回、この新型エクリプスクロスPHEVを、ちょっと遠出して雪道試乗してみたので、その魅力を余すことなく、お伝えしていきたい。

文/鈴木直也
写真/奥隅圭之

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■まさにファン・トゥ・ドライブ ! “S-AWC”のごきげんなハンドリング

 ふつうに走っている限り、エクリプスクロスPHEVのイメージは「静かでスムーズ」というのが一般的だろう。

 バッテリーがフル充電されていれば確実に50km以上のEV走行が可能で、その状態ではもちろんEVそのもの。停止からスッと滑らかに走り出し、踏めばモーターならではのレスポンスで力強く加速する。

 EVプライオリティモードを選択しなくても市街地レベルの加減速ではエンジンはほとんど始動しないし、アクセルを深く踏み込んでエンジンが回り始めても上手に遮音されたエンジン音はその存在を意識させない。PHEVとしての完成度の高さは世界的にもトップレベルにある。

 それだけでも大したものと言えるのだが、エクリプスクロスPHEVのもうひとつの魅力は“S-AWC”の卓越した車両運動統合制御。一度、雪道やオフロードを走らせてみると「これを味わわないともったいない!」と言いたいくらい、4WDの走りがコントロールしやすく楽しいのだ。

 ぼくは雨の富士スピードウェイショートコースでそのハンドリングを堪能したのだが、それはなかなか得難い体験だった。

ツインモーター4WDの「S-AWC」を搭載した『エクリプスクロスPHEV』。ランエボX開発の知見と、前後独立モーター駆動の自由度から理想的な前後駆動配分を実現できた
ツインモーター4WDの「S-AWC」を搭載した『エクリプスクロスPHEV』。ランエボX開発の知見と、前後独立モーター駆動の自由度から理想的な前後駆動配分を実現できた

 雨のサーキットで一番センシティブなのはブレーキング。ターンインでうまく前輪をグリップさせないとアンダーが出るし、荷重の抜けた後輪が流れるのも要警戒。最初はセオリーどおり丁寧に走ってみた。

 ところが、限界を探るような走りではエクリプスクロスPHEVはオンザレールそのもの。一般公道なら安心安全でOKなのだが、せっかくのサーキットランでこれじゃ面白くない。ならばと、ブレーキングを遅らせたりアクセルオンを早めたり、いわゆる「振り回す走り」に切り替えてみた。

 これがまさに「お楽しみはこれからだ!」そのもの。攻めれば攻めるほどファン・トゥ・ドライブの世界が広がっているのだ。

 まず特筆すべきは、ドライバーの予想を裏切るようなヨー変位(アンダー・オーバー)が発生しないこと。

 進入で思いっきり横Gを残してブレーキングするとか、立ち上がりで早めにどーんとトルクをかけるとか、わざと姿勢を乱すような荒っぽい操作をやってみても、ハンドルを切った方向にいつも忠実にノーズを向けられる安心感がある。

 もちろん、オーバースピードでコーナーに進入すれば、ラインをクリッピングポイントに乗せられずにはらむ。しかし、そんな場合でも最低限のヨーレスポンスが維持されるから、際限なくアウトにふくらんでゆく不安がないのだ。

 加速時のトラクション制御も見事としか言いようがない。不意にリアが滑ったりしないのは4WDだから当然としても、無造作にアクセルを踏んでもプッシュアンダーにならず、きちんと曲がりながら理想的な4輪ドリフト状態にもち込める。

 あまりにもうまく走れちゃうものだから、ついドライバーは自分の運転が上手いと勘違いしがちなのだが、じつはこれこそS-AWCの真骨頂。誰が乗っても大きくラインを踏み外さないように、4輪のトラクションとクルマの動きが統合制御されているがゆえで、けっして急に運転が上手くなったわけではないのだ(涙。

 三菱があえてAWD(オール・ホイール・ドライブ)ではなく、AWC(オール・ホイール・コントロール)といってる理由がここにある。

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