■最新4WDシステムによる、傑出したハンドリング
プジョー205ターボ16の直進安定性は、アウディ・クアトロのような地べたに張り付いているようなものではない。路面の状態によって前輪は小刻みに左右に揺れる。しかし、そこは4WDで、スティアリングが少し左右に揺れるだけで、それ以上の揺れはない。いうなれば、かろうじて保っている直進安定性なのだ。
その理由はセンターディフにファーガソンシステムのリミテッドディファレンシャルを使い、前後のトルク配分を任意に変えることができることからくる。ワークスラリーカーは、前25対後75から前45対後55の範囲内でいくつかのトルク配分を変えられるのだ。
生産型のプジョー205ターボ16は前34対後66となっており、アウディクアトロのような50対50ではない。それが、アウディクアトロのような絶対的ともいえる直進安定性を持たない理由なのだ。
センターディフによって前後のトルク配分が変えられるのはトコトン心強い。雪の路面は前45対後55、サーキットのような高速コーナーでは前25対後75、ダートでは前34対後66など、路面にあわせたセッティングができるからだ。
このトルク配分の変更には現在7分ほどかかるが、最終的には4〜5分に縮まる可能性がある。
アリ・バタネンはこのプジョー205ターボ16に乗る前は、左足ブレーキなど初期のアンダーステアを消すためのテクニックが必要だと思っていたという。しかし、実際に乗ってみるとあまりにあっけなく曲がり、かつて彼が乗っていたフォード・エスコートやオペル・マンタと少しも変わらない操縦感覚で、しかもコーナリングスピードは信じられないくらい速かったという。
私も実際に乗って驚いた。タイトコーナーもスティアリングを切ると同時にサッとノーズが曲がりたい方向に向き、まるでミドシップカーのような(実際ミドシップカーなのだ)レスポンスを示す。
そのうえ、コーナーをスティアリングを切ったままスロットルオンで走っていけば、少しずつテールは滑り出し、軽いカウンタースティアによってコーナーを駆け抜けることができる。
そう、ちょっといい腕があれば、ミューの低いダートで名高いラリードライバーである山内伸弥や竹平素信のような妙技ができてしまうのだ。
スポーツカーとして、プジョー205ターボ16はきわめて面白いクルマであり、このクルマのハンドリングは、多くのミドシップカーのなかでも傑出しているのだ。
◎プジョー205ターボ16 主要諸元
全長:3820mm
全幅:1700mm
全高:1353mm
ホイールベース:2540mm
エンジン:直4DOHCターボ
排気量:1775cc
最高出力:200ps/6750rpm
最大トルク:26.5kgm/4000rpm
トランスミッション:5MT
サスペンション:前後ダブルウィッシュボーン
車重:1145kg
前後トルク配分:前34%/後66%
◎メーカー公表値
0〜400m加速:14.4秒
0〜1000m加速:27.0秒
最高速度:210km/h



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