■「ヘイ、メルセデス」で起動するメルセデス版Siri MBUX
新型Aクラスの装備で注目すべきはMBUXという新しいインターフェースを搭載したことだ。これはドライブやインフォテインメントにまつわるファンクションを会話形式でボイスコマンド化したものだが、クラウドを通した独自のAIとの通信により、会話でのやり取りをパーソナライズしていくという、いわばAlexaやSiriのメルセデス版ともいえるもの。日常的なやり取りの中で自分向けに適正化され愛着のわいたデータは車両を買い換えても移行できるわけで、当然単なる利便性だけでなく将来的なユーザーの囲い込みということをメルセデスは考えていることだろう。
■1332cc直4ターボ搭載のA200、1991cc直4ターボのA250
試乗車はルノー日産の開発主導となる1.4L直噴4気筒ターボを積むA200、そして従来のメルセデス製2L直噴4気筒ターボを積むA250の2グレード。両車に共通する最大の驚きは快適性の向上にあり、特に静粛性に関しては間違いなくクラストップ級というところまで高められている。乗り心地についても19インチの大径タイヤを履くA250でさえ細かなビリザラ系の微振動をしっかり丸め、大入力時のボディの無駄な動きも最小限に留められるなどみごとなフラットライドをみせてくれた。7速DCTの滑らかな変速感も含め、常速域での乗り味は先代のドライな印象からは一変し、メルセデスの名にふさわしいものになったと断言できる。
と、同時に新型Aクラスは、その使い勝手や走りの質感も含めた総合力において、このクラスの水準器でもあるVWゴルフとの距離を一気に縮めてきたというのが偽らざる印象だ。従来はスポーティネスを強く打ち出しキャラクターを違えていたところを、新型では避けずにむしろ寄せてきたのは、メルセデスの自信の表われでもあるだろう。ちなみにこのセグメントはBMWも1シリーズがFF化することが既定路線となっている。VWゴルフを軸として、またしても激しい覇権争いが繰り広げられることは必至だろう。
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