トヨタが投入する新型EV第一弾!! bZ4X初試乗で見えたその実力は!!?

■気になるその性能は!? 2WDと4WDでがらりと変わるそのキャラクター

 試乗したのは18インチ仕様のFWD車と、20インチ仕様の4WD車で、FWD車はフロントに150kW、4WD車は前後に80kWずつシステムで160kWの同期モーターを搭載。ともに71.4kWhの駆動用リチウムイオンバッテリーを搭載し、水冷方式のバッテリー温調システムにより、あらゆるシーンで安定した入出力性能を確保しており、最大150kWでの急速充電にも対応する。

 車両重量はFWD車が1920kg~、4WD車が2005kg~で、0-100km/h加速タイムは8.4秒と7.7秒となる。WLTCモードでの一充電走行距離は、FWD車が500km前後、4WD車が460km前後と、このクラスのBEVとしてはまずまずだ。

BEVならではの運転の楽しさ、ワクワク感を提供することを目指したe-TNGAの考え方に基づいた高剛性の新型プラットフォームを採用。薄型大容量電池パックの床下・平置き配置で<br>低重心化したことで、旋回時の安定した車両姿勢を実現
BEVならではの運転の楽しさ、ワクワク感を提供することを目指したe-TNGAの考え方に基づいた高剛性の新型プラットフォームを採用。薄型大容量電池パックの床下・平置き配置で
低重心化したことで、旋回時の安定した車両姿勢を実現

 約2.4kmのコースを、それぞれ3周×2回ずつFWD車と4WD車で走ってみたところ、それなりに違いはあったのだが、いずれも動きが素直で乗りやすい点では共通していた。

 リニアなアクセルレスポンスと伸びやかな加速フィール、正確なライントレース性といったBEVならではよさは十分に味わえる。欲をいうともう少し何かプラスアルファの”Fun to Drive”があるとなおよい気もしたのだが、性能の高さをウリにするBEVではないのでこれでよいかと思う。

 アクセルペダルをゆるめると減速度が増大し、なめらかに減速させる回生ブースト機能も選択できる。減速度はそれほど強くないが、おそらく公道で日常的に使うには、これぐらいがちょうどよく感じられることだろう。いかに不快な挙動を出さないかを重視したようで、加速状態から減速に転じる際にも急激にGが変わることなく、なだらかに移行するように味付けされているあたりにも、トヨタらしい心配りを感じる。

4WD車は、RAV4よりもリアモーターの使用範囲を拡大させることで、より安定感のある走りに。スバルと共同開発したX-MODEを採用することで、雪道などの滑りやすい路面やライトオフロードでも高い走破性を実現
4WD車は、RAV4よりもリアモーターの使用範囲を拡大させることで、より安定感のある走りに。スバルと共同開発したX-MODEを採用することで、雪道などの滑りやすい路面やライトオフロードでも高い走破性を実現

 ハンドリングもEVならではの強みを感じさせる。フロア下にバッテリーを搭載するので重心が低く、コーナリングでのロールは小さめ。全高を抑えたことも効いているだろうが、210mmも地上高があるとは思えない動き方をする。

 FWD車と4WD車ではドライブフィールがそれなりに違う。サーキットで限界走行を試した今回の試乗ではなおのことだろうが、やはりバランスがよいのは重量配分が前後均等に近い4WD車で、FWD車はフロントヘビーで、前で引っぱる感覚が強い。ただし、感触としてはFWD車のほうがだいぶ身軽に感じられた。

 VSCのON/OFFを試すと、よりそれが顕著に表れる。OFFにして攻めると、FWD車はアンダーステアやオーバーステアが出やすいのに対し、4WD車はその度合いが圧倒的に小さく、挙動も乱れにくい。根本的な素性として操縦安定性に優れているようだ。

 さらに、VSCをONにすると、どちらも本当に意のままに走れて感心した。作動時にはそれを示すランプが点灯するものの、その存在を感じさせないぐらい制御がスムーズであることに驚いた。これも緻密に駆動力を制御できるBEVなればこそに違いない。

次ページは : ■トヨタが見据えるBEV戦略とはどのようなものなのか!?

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