ヤマハの電動バイクはミニTMAX的爽快感!? ガソリン1Lの価格で136km走行可!! ヤマハE01がすごすぎる

航続距離を伸ばすためバッテリー重量は30kgとなり、固定式に

 ヤマハは中長期成長戦略で、2輪の完全電動車(BEV)の割合を2035年までに20%にする目標を掲げている。これを達成するには、E-ビーノのように都市内移動の短距離を想定したコミューターだけでは足りず、ガソリンエンジン車のみとなっている都市圏を移動可能な中距離セグメントにもEVを投入していく計画だ。

 航続距離を伸ばすには大きく重いバッテリーを積む必要がある。E01のバッテリー重量は30kgとのこと。ヤマハによると「人が片手で持てる電池重量が約10kgが限界」であるため、着脱式バッテリーのE-ビーノに対し、E01のバッテリーは固定式とした。

 当初は高速道路を走行できる126cc相当も検討したが、通勤ユーザーは1日30~40kmの走行がメイン。5~6時間で充電でき、ユーザーも多いことからまずは125cc相当を選択した。

 なおE01自体は販売予定がなく、実証実験の結果を反映したモデルが世に送り出されることになる。

 電動バイクに関しては他メーカーと協調路線を歩みと思いきや、EVには「協調領域」と「競争領域」があると担当者は話す。国内4メーカーによる電動バイク共通バッテリーのシェアリングサービスを提供する「ガチャコ」などの取り組みは前者、今後の利便性を探るE01のようなヤマハ独自の取り組みは後者にあたる。ヤマハが協調から外れ、独自路線を歩むわけではないのだ。

ヤマハは電動化に積極的なメーカー。1991年に電動バイクのフロッグを参考出品した後、電動アシスト自転車のパスを発売。2002年に市販電動バイク第1弾のパッソルを送り出した
ヤマハは電動化に積極的なメーカー。1991年に電動バイクのフロッグを参考出品した後、電動アシスト自転車のパスを発売。2002年に市販電動バイク第1弾のパッソルを送り出した

リニアな加速が最大の魅力、意外なほど走りはスポーティだ

 会場には、直線が長いコースとスラローム区間が長いコースが用意された。あいにく強い雨が降っていたが、却って電動バイクの素姓を実感できたように思う。

 まずメインスイッチをONにして、スターターに該当するボタンを押すと走行可能に。この状態で無音なので戸惑うが、スロットルを捻ると発進できる。125クラスらしく圧倒的なダッシュではないが、タイムラグがなく滑らかだ。低回転から最大トルクが発生されるのがEVの特徴ながら、あえて出足の加速を抑えており、トルクの立ち上がりに唐突感はない。

 速度域に関わらず、スロットルを開けると常に加速できるのもいい。スロットルのオンオフが続くスラロームでもリニアにトルクが立ち上がる。減速時には回生ブレーキが作動するが、違和感は全くなかった。

雨が本降りの試乗だったが、安心感は高い。周囲の音がよく聞こえ、運転に集中できるのもいい。データは未公表ながら30km/hからの加速や0→400m加速はNMAXと同等かそれ以上だ
雨が本降りの試乗だったが、安心感は高い。周囲の音がよく聞こえ、運転に集中できるのもいい。データは未公表ながら30km/hからの加速や0→400m加速はNMAXと同等かそれ以上だ

車体の重さがやや気になるも、動力性能はNMAX越え

 最大トルクは、わずか1950rpmで発生。3500rpm以上ではフラットに最高出力を発生し続ける。トルクバンドが狭く、ミッションが必要な内燃機関とは特性が大きく異なる

 なおE01はモードが3種類あり、体感ではかなり異なる。上記は最も力強い「PWR」(パワフル)の試乗で、最大トルクのみ減少する「STD」は加速感がやや大人しい。最高出力とトルクがよりダウンし、最高速を60km/hに抑えられる「ECO」は非常にマイルドだ。試乗時のようなウエット路面や、住宅地を走る際などはECOでも十分だろう。

 会場に用意されたNMAXとも比較してみた。排気音と振動が勇ましいものの、E01ほど加速が鋭くない。特に発進時は遠心クラッチの影響もあるが、もたつきがある。巡航状態からの中間加速でもE01の方が断然パワフルでレスポンスも良好だ。

 それにしてもE01は静かだ。40km/h走行時の騒音は58dBとのこと。これは銀行の窓口周辺や博物館の館内レベルという。NMAXと比較すると約10dBも静かだ。

 車体の出来も素晴らしい。前後タイヤにしっかり接地感があり、トラクションコントロールの装備も相まって、雨の日でも安心感が高い。コーナーでもリヤが路面を蹴る感覚を伴ったまま、スッと曲がれる。筆者は2002年発売の電動パッソルに試乗した経験があるが、E01のパワフルさと車体の完成度に時代の流れを感じた。

 ただし車重が158kgで、NMAXの131kgより27kgヘビーのため、切り返しやバンク中に車体の重さを感じる場面も。とはいえ、NMAXと乗り比べず単体で乗ればさほど不満はないレベルだろう。

 PLの丸尾氏によると、「通勤通学向けに扱いやすさを追求するため、ほとんどが専用設計になった」という。その結果、「ミニTMAXのような運動性能を手に入れました。ワインディングを走っても楽しい」と述べる。

 また後退機能があるのもポイント。左手元のスイッチを押しながら、右手のMODEボタンを押すと1km/hで後退できる。車重の重さをこれでカバーできるのだ。

NMAXはとにかくサウンドが勇ましいが、加速感はE01よりワンテンポ遅れる。E01が未来の乗り物に感じられた。ただし車体が軽いのはいい
NMAXはとにかくサウンドが勇ましいが、加速感はE01よりワンテンポ遅れる。E01が未来の乗り物に感じられた。ただし車体が軽いのはいい

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