今回紹介するのは日産のノートとプラットフォームを共通化しているルノールーテシア。ルーテシアのハイブリッドシステムはアルカナで話題となった「ドグクラッチ」を採用したEテックハイブリッドだ。
輸入車ナンバーワンの燃費を誇るルーテシアを自動車評論家 渡辺陽一郎が公道でチェック!! 同価格帯のVWゴルフとマツダ3との比較も行った。
※本稿は2022年7月のものです
文/渡辺陽一郎、写真/RENAULT、ベストカー編集部、撮影/平野 学
初出:『ベストカー』2022年8月10日号
■ハイブリッドの楽しさを追求! ルノーらしさを感じられる
コンパクトカーは日本、海外ともに人気が高い。ルノーのルーテシアは、業務提携を結ぶ日産のノートとプラットフォームを共通化しており、ボディサイズやホイールベースはノートオーラに近い。
そこでルーテシアが新たに搭載した「Eテックハイブリッド」を試乗した。
そのメカニズムは、日産のe-POWERとは異なる。1.6Lエンジンと、動力性能の高いメインモーター、エンジンを始動するスターターモーターに発電機能を加えたHSGを搭載する。
そしてモーター側に2つ、エンジン側に4つのギヤが備わり、ドグクラッチを使って変速する。
一般的なクラッチやシンクロナイザーを備えないため、変速時にはHSGがエンジン回転を制御して、ドグクラッチを滑らかに繋げてくれる。
試乗を開始すると、1.2kWhのリチウムイオン電池が相応に充電されている時は、エンジンを停止させてモーター駆動のみで発進する。
メインモーターの最高出力は49ps、最大トルクは20.9kgmで、街中ではパワー不足を感じない。速度が高まるとエンジンが始動して振動が若干増えるが、ノイズは小さい。
変速にも粗さはない。有段ATらしく、e-POWERなど日本車のハイブリッドに比べると、アクセル操作に応じて速度を正確に増減させる。吹き上がりもよく、メリハリのある運転を行えた。
ノートなどのe-POWERは、ブレーキペダルとの協調制御を省いたが、Eテックハイブリッドは協調させる。
ブレーキペダルを踏むと、減速エネルギーを使って積極的に発電する回生の度合いが強まり、燃費効率が高い。
ブレーキペダルを軽く踏んだ時は、回生量の増加に基づく減速のみが行われ、ディスクブレーキを作動させないことも多い。WLTCモード燃費は25.2km/Lと良好で、ノートオーラの27.2km/Lに近い。
乗り心地は、時速40km以下では若干硬いが、足まわりが柔軟に伸縮して違和感はなく、現行型の発売当初に比べると快適性が向上した。
カーブを曲がる時はボディが少し大きめに傾くが、姿勢の変化が穏やかで運転しやすい。
後輪が踏ん張るから高速道路での直進安定性に優れ、峠道でも曲がりにくい印象はない。挙動の変化がわかりやすいのだが、これには前席の着座位置も関係している。
ルノーは前席を車両の中心に位置付ける傾向が強く、ルーテシアもドライバーを中心に車両が旋回する感覚がある。
その代わり後席の足元空間は狭めだ。
身長170cmの大人4名が乗車した時、ノートやノートオーラでは、後席に座る乗員の膝先に握りコブシが2つ収まるが、ルーテシアは1つだ。
床と座面の間隔も足りず、膝の持ち上がる座り方になりやすい。半面、前席は運転姿勢を含めて快適だから、2名以内で乗車するクルマ好きに適する。
ハイブリッドの特徴を生かした運転の楽しさを追求しており、ルノーらしさも濃厚に感じられる。
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