■室内空間の快適さ、使い勝手の良さは先代から引き継ぐ
先代がセミハイトの軽として初めて両側スライドドアを採用したこともあり、「ムーヴキャンバスは使い勝手が良い」というイメージがありますが、今回もその印象は裏切られることはありません。
スーパーの駐車場でクルマを降りるときに予約ボタンを押しておけば、買い物袋で両手がふさがっていてもキーに反応してパワースライドドアが自動で開く機能が追加されるなど、日細かい常使いのシーンでの便利さを追求しています。
買い物袋を後部フロアに置くのは抵抗あるけど、シートに直接置くと帰宅途中に倒れてしまって玉ねぎや缶ビールがシート下に転がってしまう、なんていう「買い物あるある」のお悩みを解決してきた、先代から好評の「置きラクボックス」。今回さらに進化して、片手で荷物を支えるついたてを組み立てられるようになり、一度シートの上に荷物を置く手間が省けるようになりました。
また今回の新車開発期間が、コロナ感染拡大の時期と重なり、コロナ禍での新しい行動様式を反映したクルマの使い勝手も考えられています。
食べ物をテイクアウトして一人の空間で食べる機会が増えたり、友人とお店で飲み物を飲みながらおしゃべりするのが難しくなったことを受けて、ダッシュボードにちょっとした食べ物が置けるスペースが作られたり、カップホルダーに保温機能も装備されて、一人、もしくは友達とクルマの中でくつろぎながら飲食できるよう考えられています。車内で女性が快適にくつろげるよう、運転席と助手席にシートヒーターも装備されました。
さらに、カーナビでなくスマホの地図アプリを使うことが多い若い世代向けに、Apple CarPlayやAndroid Autoに対応したディスプレイオーディオやワイヤレス充電機能も設定されています。
細かい使い勝手を改善するため、コロナ禍でもオンラインのユーザーインタビューを行ったり、社内でムーヴキャンバスのオーナーを集めて直接声を聞いたり、スーパーなどで実際にクルマを使っているシーンを観察するなど、これまで以上にユーザーの聞き込み調査を行った結果が反映されているそうです。
室内空間が十分広いことはいうまでもなく、試乗で大柄の男性3人が乗っても窮屈さをあまり感じなかったこと、スマートアシストをはじめとするイマドキの安全装備はひと通り装備・設定されていることも念のため付け加えておきます。
■DNGAの採用で、クルマとしての基本性能は普通の軽自動車に期待するレベルを超える
新型ムーヴキャンバスのチーフエンジニアに「一番苦労した点は?」と質問したところ、「デザインです」との答えが返ってきました。
「デザインは大きく変わっていないのに、なぜ?と思われる方がほとんどだと思います。その理由は、クルマの基本性能の良し悪しを大きく左右する基本骨格であるプラットフォームが、DNGAという新しいものに変わったからです。先代と新型で骨格が全く違うのに、似たようなクルマに見せる、というのは相当大変だった」とおっしゃっていました。
確かによく見ると、フロントガラスの後方への傾きが今回大きくなったりしていますが、新形になってもどこからどう見てもムーヴキャンバスにしか見えません。
DNGAの採用により、クルマの基本骨格が強くなったと同時に約50kg軽量化され、軽だからこそ必要な「走りの安心感」と「快適さ」につながるクルマとしての基本性能が向上し、燃費と乗り心地も向上していていました。
実際に、下り坂のカーブにわざと高めのスピードで入っていき、あわててブレーキをかけながらハンドルを切り足す、という「下りの山道あるある」のシチュエーションを試してみましたが、やや背の高い軽自動車で感じがちな恐怖感は少なく、タイヤの感触がちゃんとハンドルに伝わり、クルマが地面をとらえ続ける感じがしっかりありました。
また、アクセルの踏み込み度合いをエンジンに伝える電子制御を見直したり、男性と比べて一般的に腕の力が弱い女性のハンドル操作を助けるため、少しの力で大きくハンドルが切れるようになっていた部分を微調整したりして、車酔いを少なくしたり乗り心地を安定させるといったようなソフト面での努力もされています。
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