■恐ろしいほど速い!! 新世代のフェラーリ
スタイリングも新世代に移行した。1999年にデビューした360モデナからのミッドシップデザインから脱却した、とフェラーリは説明している。デザインを担当したのはフェラーリ・デザインセンターのチームという。
フロントやテールのデザインはこれまでのミッドシップフェラーリとは趣が異なっている。その影響なのか、初めて対面したSF90ストラダーレは、ブリティッシュレーシンググリーンのようなダークグリーンにシルバーのストライプという、これまでのフェラーリにはあまり見られないカラーリングでボクたちの前に登場した。
プッシュ式のドアボタンを押し、運転席に座る。ドアを開けるとドアシルに「Assetto Fiorano」の文字が。SF90はフェラーリとしては初めて標準仕様とスポーツ指向仕様のバージョンを設定した。
「Assetto Fiorano」はスポーツ仕様の名称で、GTレーシングからのアップグレードアイテムが数多く装備されている。まずマルチショックアブゾーバー、ドアパネルとアンダーボディはカーボンファイバー、スプリングとエグゾーストライン全体はチタンを用いている。これらで約30kgの軽量化を達成した。さらにカーボンファイバー製リアスポイラーも加わる。タイヤもミシュランパイロットスポーツカップ2を専用に開発し、装着している。
クルマの印象だが、かなりレーシーな仕上げだ。運転席もシートの上下は電動だが、スライドやリクライニング、ハンドルのテレスコやチルトもすべて手動式だ。グローブボックスも省略されている。
ハンドルスポークの左にあるダイヤルはEV/HV/充電/1000psの4モードが選べる。走り出す前のレクチャーで、「1000psモードは公道では使用しないで下さい」と厳命を受けたので封印。
ハンドルスポーク右の赤いダイヤルはWET/SPORT/RACE/CT OFF/ESC OFFが選べる。もちろん通常走行はSPORTで十分。8速ATのシフトはH型のシフトを模してはいるがR/A/M/Lはすべて各々のレバーを操作する。マニュアルシフトはパドルだけで行なう。
シートポジションを調節し、ハンドルに設置されているスターターを押し、走り出す。ハンドルは重めの操舵力。カーブでは抵抗感もあり、さらに重く感じる。
EVモードで走行してみる。電池の総容量は7.9kwhなので、EV走行は25kmが限界。それでも充電することができるので、街中での日常使いはEVとして使える。エキゾースト音もさせずにスルスルと走るフェラーリは新時代のスーパーカーのイメージだ。
HVモードで走る。街中でのV8、4.0ターボ+モーターの走りは大人しい。60km/hで7速に入り、1400回転あたりで巡航できる。高速走行でも100km/h巡航はDレンジ8速1600回転。7速でも2300回転なので、エキゾースト音の侵入も少ない。乗り心地は硬め。上下動もソリッドに伝わってくる。
ただし、ハンドリングに関しては、かなりクイック。手首の動きでノーズは瞬時に向きを変える。その動きはレーシングカー的。公道の高速コーナーでは気を使う。日本の一般道や高速道路では上下動も発生し、ややハネ気味。そのセッティングはサーキット路面に合わせてあるかのようだ。
ここまでは一般公道モードを主体に走行してきた。さすがに1000馬力モードは試せないが、HVモードでの加速をちょっとだけ味わってみたくなった。そこで0→100km/h加速にトライ。スタートと同時にモーターパワーで一気に頭がヘッドレストに押しつけられた。エンジン回転計は8000回転。ハンドル上部の内蔵された高回転表示ランプも点灯する。思わずアクセルをちょっとゆるめてしまった。全開はサーキットの幅広い直線コースでしか試せない! と思ったそれでも3秒台! さらに過激な1000馬力モードだとどんな加速をするのだろうと思うと恐ろしくなる。
スクーデリア・フェラーリ創設90周年を記念したモデルは電動シートやグローブボックスも省略したスパルタンなモデルだったが、一方でプラグインハイブリッド方式を採用し、モーターも用いた4輪駆動を採用している。レーシングシーンを一番大切にするフェラーリが考える、将来のレーシングカーの姿をひと足先に市販車で味わせてくれたのが、SF90ストラダーレなのだ。
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