■シャオミ最新の車載OS搭載
そんな「シャオミSU7狂想曲」の真っただ中に、幸運にもその広報車に海外メディアとしては初めてとなるSU7に試乗できる機会を得た。前置きがめっちゃ長くなってしまったが、試乗レポートをお届けしたい。
シャオミの雷軍CEOはこのSU7のライバル車をポルシェタイカンだとしているが、SU7に設定されているボディカラー全9色はカラー名こそポルシェと違えど、すべてポルシェのモデルカラーにインスパイアされたものだという。
まず、エクステリアデザインを見ると、どことなく欧州車風の雰囲気を感じさせるのだが、かつてBMWのデザイナーだったクリス・バングル氏が手がけているということで納得。
続いてインテリアをチェックすると、中央には中国車の常とも言える大型でワイドな16.1インチセンターディスプレイが鎮座する。基本的に物理スイッチは極力排除されているため、アプリによって車内での操作を行う。
また、SU7を購入すると自動的にシャオミのスマホがもれなくついてくる。このスマホを完全にSU7のワイドディスプレイに連動させることも可能で、ペアリングさせると以後のスマホの操作はワイドディスプレイ上で行えるのだけど、このあたりは同じくスマホメーカーのファーウェイのモデルを踏襲する。
ルーフにはRiDARを設置し、11機の高精細高解像度カメラのほか、3基のミリ波レーダーや12機の超音波レーダーなどで構成される最新鋭ADAS「シャオミパイロット」も完備(自動運転はレベル2相当を提供)。車載OSには最新版の「Hyper OS」を搭載している。
ステアリングのなかに設置されるメーターパネルは7.1インチとセンターディスプレイと比べてしまうと小さいが、表示される内容はドライブに必要最小限といった感じだ。また、ドライバーの顔を認証するカメラも左右両側ドアの前後中間に配置されているのがユニーク。
■エアサスペンションが威力抜群!
試乗したモデルは4WDでトップグレードのMax。まずは慎重にアクセルを踏み込んだのだが、拍子抜けするほどその乗り心地はいい。この手のハイパワーEVにありがちな低速時のゴツゴツ感もさほど感じられない。
それもそのはず、このMaxグレードには連続可変ダンパーを備えたエアサスペンションが装備されていたからだ。車重は2205kgとかなりの重量となるSU7だが、段差を乗り越える際にもエアサスが威力を発揮。実にしなやかに路面からの入力をいなしてくれる。
搭載するバッテリーは101kWhのCATL製三元系リチウムイオンバッテリーを採用しているのだが、673psものパワーを誇るMaxの加速力はその重さを微塵も感じさせないほどの強力さ。
続いてステアリング右側に設置された「DRIVE MODE」スイッチを押し、20秒間フルパワーを発揮するブーストモードを体験。ガソリン車では味わえないような、めくるめく圧倒的な加速力はまさに“麻薬”のようなものだと思えた(もちろん、やったことありませんけどね)。
また、試乗車には通常グレードには装備されないブレンボ製ブレーキシステムが装備されていたのだが、ブレンボをもってしてもブーストモード時のSU7が発生する強大なモーターパワーに対応するには少々プアだとも感じた。
ただし、それ以外は価格設定を考えると「これ以上、何を求めるのか?」と言っていいくらい、高レベルにすべてがまとまっていた印象だった。ボディはカッチリしているし、エアサスを奢った乗り味も特に不満な点はなし。
かつてポルシェ初のEVであるタイカンの初期モデルに試乗したことがあったのだが、その時以上のインパクトが正直このSU7には間違いなくあった。
しかしまあ、こんなクルマが中国国内で630万円(Maxグレード)で販売されることに慄然とさせられた。「シャオミSU7、恐るべし」というのが試乗後の偽らざる心情だ。
今後、さらなる高性能バッテリーを積んだV8と称されるモデルも追加されることが決まっているシャオミSU7だが、いやマジでこんなクルマがバンバン出てきたらクルマ業界の勢力図自体がまるっきり変わってしまいそうで怖い……!
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