中古車狙ってる人必見!! 無給油・充電だけで「1000km」走ってわかった初代アウトランダーPHEVの実力

■EV走行モードとHV走行モードを使い分けろ アウトランダーPHEVのBEST DRIVE術

 さてさて。ここからがアウトランダーPHEV分析の本番である!

 最も大きな特徴は「どんな走り方をしてもガソリン使うより電気のほうが安い!」というもの。高速道路をハイブリッド走行モード(以下HV走行と略)で走った時の燃費は、80km/h巡航でおよそ16km/L。100km/h巡航だと14km/Lといったイメージ。

 EV走行モードで走ったなら、電費を6km/kWhとして30km走るのに150円(家庭用の電気料金を1kWh/30円として計算)、HV走行モード15km/Lとすれば、1Lあたりのレギュラーガソリンを160円として320円。EV走行モードならHV走行モードの半分ですむ。

 したがって、短い移動距離なら100%電気自動車で走ったほうがお得ということになる。そして抜群の効率を誇るのが街中。普通のガソリン車よりも燃費がいいHV走行モードのアウトランダーPHEVと比べ、エネルギーコストで2分の1。同じクラスのガソリンエンジンを積むSUVと比べたら3分の1のエネルギーコストだ。

アウトランダーPHEVの走りを引き出す重要なスイッチがセーブモードとチャージモード。こいつと回生レベルセレクターを操れば、好奇心いっぱいのドライブができる
アウトランダーPHEVの走りを引き出す重要なスイッチがセーブモードとチャージモード。こいつと回生レベルセレクターを操れば、好奇心いっぱいのドライブができる

 今回の総合燃費は22.94km/L。それを当てはめれば燃費8km/Lのガソリンエンジン車からアウトランダーPHEVに乗り替えれば、走行1万kmあたり13万円以上も安くすむのだった(1L160円で計算)。

 長距離ドライブではどうすべきか? もちろんEV走行モードで走ればOK(電気がなくなったら自動的にHV走行モードに切り替わる)。まったく問題ない。されどクルマ通なら、燃費を伸ばす方法がある。速度が遅いと電気自動車有利。速度が上がればガソリン車有利、という特性を上手に使ってやるというもの。以下、具体的に紹介したい。EV走行モードが圧倒的に有利なのは、ノロノロ走行が多い街中や渋滞路。電気自動車って遅いほど電気を食わない。

 ノロノロ渋滞時の電費をチェックしてみたら、8km/kWh近く走ってます。対して80km/h巡航すると6km/kWhまでダウン。ところがHV走行モードだと逆転。ノロノロ走行のほうが燃費が悪いのだ。

 ここまで読んで「なるほど!」と理解していただけたことだろう。バッテリーに貯めた電気だけじゃ到達できない距離を走行する場合、渋滞や街中をEV走行モードで、高速巡航はHV走行モードで走ればアウトランダーPHEVの効率のよさをフルに引き出せるワケ。

 例えば一般道を20km走り、そこから高速道路に入って150km。高速道路降りて30kmの場所に行くとしよう。この場合、最初の20kmを電気自動車走行になるEV走行モードで、高速道路に入ったらHV走行になる『セーブモード』とする。

 再び一般道になったら自動的にEV走行モードになる。するとEV走行モードのまま高速道路を走るより、総合燃費を伸ばすことができる。高速道路のSAで急速充電できれば、さらにエネルギーコストを引き下げられます。

 この特性をさらに生かすことも可能。高速道路を走っている時は、上りと下りがある。大ざっぱに言えば、上り区間をHV走行モードで走り、下り区間になったら電気自動車にすればよろしい。東名高速を東京方面から名古屋方面に走ると、大井松田から登り坂基調になっていく。ここはエンジン主体のHVで走ったほうが有利。そして御殿場から先の下り坂は電気自動車のEV走行モードで走るというもの。これでアウトランダーPHEVの最高効率を引き出せます。

鞆の浦名物のボンネットバスとの2ショット。1958年式というから国沢光宏と同級生だった。ちなみに鞆の浦は『崖の上のポニョ』の舞台でもある

 今回アップダウンの多い(数km単位で上り坂と下り坂がある)山陽道でこのテクニックを細かく使って総合燃費を稼いだ。さらにここでひとつテクニックを。『セーブモード』のボタンを押してもバッテリー残量がある時は即座にエンジンは始動しない。

 そんな時は『チャージモード』を選ぶと、すぐにエンジン始動。チャージモードのままだと燃費が悪くなってしまうため、エンジンがかかったらすぐセーブモードに切り替える。これで燃費を稼ぎました。

『チャージモード』は(走っていると少しずつ電気が貯まっていくという制御)どうやって使ったらいいか? 1日目、岡崎ICから先で3kmくらい渋滞していることがわかったため、手前から『チャージモード』に入れ、3kmだけ電気自動車として走れるぶんの電力を貯めてみた。

 HV走行モードで小刻みにエンジンがかかるより、EV走行モードのほうが効率がよいだろうという狙い。この使い方、果たして得なのか損なのか不明です(もう少し検証が必要)。

 一般道のEV走行モードの電費を伸ばす時に有効なのはBモード。パドル操作により、回生制動ゼロの『B0』から、ガソリン車であれば2速ギアを落とした程度の回生を行なう『B5』まで6段階の回生ブレーキを選べる。

 なかでも世界中の市販電気自動車で初めて採用した『B0』がすばらしい! 下り坂などで『B0』を選ぶと、電車のような滑走状態になります。回生を行なうと電費がよくなると勘違いしてる人も多いようだけれど、大きな間違い。

 エネルギーを100%回生できないからだ。上を見て70%という感じ。30%をロスしている。滑走している状態なら消費エネルギーゼロ。停止する時は『B1~B5』を使い回生をかけ、最後にフットブレーキで止まる。これまた電車と同じでございますな。

 といった具合で普通に走れば普通に走るアウトランダーPHEVながら、いろんな「燃費低減」のポケットを持っている。こいつをフルに使いこなそうとすると、なかなか奥ゆきがあって楽しい。

鞆の浦名物のボンネットバスとの2ショット。1958年式というから国沢光宏と同級生だった。ちなみに鞆の浦は『崖の上のポニョ』の舞台でもある
鞆の浦名物のボンネットバスとの2ショット。1958年式というから国沢光宏と同級生だった。ちなみに鞆の浦は『崖の上のポニョ』の舞台でもある

 アウトランダーPHEVはロングツアラーとしての資質も高い。まずはレーダー・クルーズコントロールシステム(ACC)。通常の追随走行モードのほか、渋滞時のノロノロ走行にも対応している。

 不思議なモノで、アクセルもブレーキも踏まずに渋滞の中を走っていると、案外ストレスがない。長距離ドライブで一番イヤな渋滞が苦にならないからありがたいです。

 参考までに書いておくと、90km/h巡航と、追い越し車線を平均100km/hで走った場合、100km先の到着時間は7分弱しか変わらない。

 安全性だってバッチリだ。30km/h以下であれば不注意によってブレーキをかけ忘れても自動停止してくれるFCMも付く。危険が迫れば『注意』というコーションだって出してくれる。

 カメラで走行レーンも常時確認しているので、居眠りなどで車線を逸脱しそうになったらアラームまで鳴らしてくれます。

 もちろんドライビングミスなどないほうがいいに決まっているけれど、事故防止効果という点で高く評価しておきたい。帰路、広島の鞆の浦から約760kmを一回の休憩だけで走ったが、予想以上に疲れませんでしたね。

 そうそう。帰路で豪雨に遭遇。ダメもとで『4WDロック』モードを試してみたところ、スタビリティが大幅に向上した。通常もフルタイム4WDだがロックモードにすると前後にしっかり駆動力を伝える4WDになる。ステアリングの落ち着きまで違うからタイしたモンだ。

 多少燃費は落ちるかもしれないけれど、安心感を考えればリーズナブルだと思った。機会があればぜひ雪道も走ってみたい。アウトランダーPHEVならガンガン行けることだろう。

国道2号線は関門国道トンネルになっていて全長は3461m、料金は150円だ。下関ICをおり、流れに乗ったアクセルワークでトンネルを抜け、念願の九州上陸をはたした。1029.7km走り、使ったガソリンは44.88L。総合燃費は22.94km/L
国道2号線は関門国道トンネルになっていて全長は3461m、料金は150円だ。下関ICをおり、流れに乗ったアクセルワークでトンネルを抜け、念願の九州上陸をはたした。1029.7km走り、使ったガソリンは44.88L。総合燃費は22.94km/L

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