■ハンドリング、乗り心地はどうだ
先代に比べると、プラットフォームは共通ながら、ボディやサスペンションに改善を加えた。そのために走行安定性が幅広い場面で向上した。例えば車線を変えるためにステアリングホイールを回し始めた時、新型は先代に比べて車両が正確に反応する。操舵角が小さな段階から、車両が進行方向を正確に変え始める。
カーブを曲がっている最中は、前輪が相応に踏ん張り、旋回軌跡を拡大させにくい。その一方で後輪の接地性も優れ、下り坂のカーブを曲がったり、危険を避ける時でも挙動を乱しにくい。全高が1700mmを超えるミニバンでありながら、従来型以上に安心感の高い運転を行える。
乗り心地は少し硬めだが、タイヤが路上を細かく跳ねる粗さは抑えた。硬めでも重厚な印象があり、コンパクトサイズのミニバンやSUVでは快適な部類に入る。従来型との比較でも、新型の乗り心地は滑らかさが増して洗練された。
街中での運転のしやすさも向上した。先代も視界が優れていたが、新型ではインパネの上面が平らで前方がスッキリと見やすい。
また先代では、サイドウインドウの下端を少し後ろに向けて持ち上げて斜め後方の視界を削いでいたが、新型は水平基調になって後方も見やすくなった。水平基調のデザインは、2/3列目シートからの視界も向上させ、同乗者のクルマ酔いを防ぐ効果もある。
■居住空間はどれほど進化した?
居住空間の広さは、先代と比較して大差はない。床の高さに変更はなく、運転席のペダルから、3列目シートまでの距離も基本的に共通だ。それでもシートの座り心地は向上している。1列目は腰から大腿部までをしっかりと支えるから、運転中に着座姿勢が乱れにくく、なおかつ長距離を移動する時も疲れにくい。
2/3列目のシートは、先代と同じく、床と座面の間隔が不足している。床の高さはステップワゴンと同等だが、全高は85mm下まわるからだ。
ミニバンだから頭上空間を狭めることはできず、床と座面の間隔が減り、膝が持ち上がって腰の落ち込む着座姿勢になった。
この点は先代から受け継いだ欠点だが、シートの座り心地は向上した。特に3列目は、腰が落ち込むものの、背もたれと座面が乗員の腰から大腿部を包むように支える。
カーブを曲がる時も体が左右にズレにくい。車内の広さに大差はないが、3列目のサイドウインドウも大きくなったこともあり、乗員の快適性は高められた。
なおフリードの室内空間は限られているから、多人数で乗車する時は、2列目のスライド位置を細かく調節したい。
例えば身長170cmの大人6名が乗車する時、2列目の膝先空間を握りコブシ1つ半に調節すると、3列目の膝先にも同程度の余裕ができる。開放感は乏しいが、片道1時間程度の距離なら、大人の多人数乗車も可能だ。
この時に注意したいのが、ノーマルガソリンエンジンとe:HEVの違いだ。ノーマルガソリンエンジンでは、2列目に座った乗員の足が1列目の下側にスッポリと収まる。
しかしe:HEVでは、2列目に座った乗員の足が1列目の下側に収まりにくい。そうなると窮屈だから、2列目のスライド位置が少し後退して、3列目の足元空間を狭める場合もある。つまり多人数乗車時の快適性は、e:HEVよりもノーマルガソリンエンジンが優れている。
またクロスターには、エアーが設定していない2列シートの5人乗りもある。この仕様は車内の後部がスロープ状に下がり、車椅子ごと乗車できる福祉車両も用意される。荷室の床面地上高は、3列シートは480mmだが、2列なら335mmと大幅に低い。従って重い荷物も積みやすい。
2列シートの荷室は床が低いから、専用のボードを使って上下2段に分けられ、広い荷室を有効活用できる。しかも後席の背もたれを前側に倒すと、荷室の上段と繋がり、広く平らな空間になる。車中泊をする時は、上段で就寝して、下段に荷物を収める使い方も可能だ。
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