三菱エクリプスクロスPHEVが叶えるエコとは? LCAの最適解を考える【PR】

■CO2排出量はLCAで考える必要がある

 また、最近よく耳にするライフサイクルアセスメント(LCA)という概念も、真面目にCO2削減を考えるうえで重要だ。

 これは、ユーザーがクルマを所有している間だけではなく、そのライフサイクル全体のCO2排出量を計算しようという考え方。製鉄所で鉄が作られる段階から、工場で組み立てられて出荷され、最後に廃車がスクラップになってリサイクルされるまで、クルマの一生を通したCO2排出量がカウントされる。

LCAはクルマの走行時だけでなく、製造の段階から廃棄・リサイクルまで考えた、全ライフサイクルで排出するCO2の低減を評価する手法(AdobeStock@kuznechik42/Ivan Traimak)
LCAはクルマの走行時だけでなく、製造の段階から廃棄・リサイクルまで考えた、全ライフサイクルで排出するCO2の低減を評価する手法(AdobeStock@kuznechik42/Ivan Traimak)

 例えていうなら、EVは製造時に背負ったCO2の負債を、走行時CO2排出量ゼロを利用して返済するイメージ。CO2フリーの原発や再エネ電源で充電すれば借金返済が捗るが、火力発電の割合が多い国ではなかなか借金が完済できない。

 いっぽう、エンジン車は走れば走るほどCO2を排出するから、走行距離が伸びるとどこかでLCAでカウントしたCO2排出量がEVを上回る。だから、ライフトータルの走行距離を減らし、燃費を向上させるといった緊縮財政が求められる。

 このLCAでCO2排出量を計算してみると、いろいろ興味深い事実が見えてくる。

 EVもPHEVも純エンジン車も、シャシー、ボディ、内装などは基本的に同じ。つまり、その部分のLCAを計算しても違いは出ない。

 いちばん重要なポイントは、EVはバッテリー製造時のCO2排出量が思いの外に大きく、内燃機関で走るクルマは走行時のCO2排出量が多いという基本的な傾向だ。

 EVはたしかに走行中のCO2排出はゼロだが、だからといって大量のバッテリーを積むと製造時のCO2排出量がかさむ。500kmレベルの航続距離を望むなら、内燃機関を併用してトータルCO2排出量を減らすPHEVのほうが、実用性もあわせてむしろ効率がいいという見方もあるのだ。

 三菱はLCAをベースに電動化戦略を考えているから、シティユースを中心とした小型車はバッテリーEV、航続距離やユーティリティを要求される中大型車はPHEVをラインナップする戦略をとる。

 理念先行でバッテリーEVに傾斜する欧州勢とは対照的に、より現実的なソリューションを目指しているといえるわけだ。

三菱 エクリプスクロスPHEV-PHEVは通常のEVほどバッテリーが大きくなく、ロングドライブでなければほぼ電気だけで走れるのでC02排出量が抑えられるバランスのよさを持つ
三菱 エクリプスクロスPHEV-PHEVは通常のEVほどバッテリーが大きくなく、ロングドライブでなければほぼ電気だけで走れるのでC02排出量が抑えられるバランスのよさを持つ

■LCAで考えたエクリプスクロスPHEVのメリット

 今回試乗したエクリプスクロスPHEVを例にとって、そのメリットを列記してみよう。

(1)57.3km(WLTCモード)と実用充分なEV航続距離がある。将来日本でも再エネ電力が増えてくれば充電時のCO2排出量が減るし、ユーザーの平均走行距離が少ない日本ではその大半をEV走行でまかなうことも可能。EVモードで走っている限り、LCAで計算するCO2排出量は純EVと変わらない。

(2)搭載するリチウムイオン電池は13.8kWhで、これは平均的なEVの4分の1程度の容量。製造時に大量のCO2を排出する電池搭載量をなるべく減らしたいというLCAのニーズにマッチしている。

(3)ロングドライブ時の航続距離はガソリンエンジンによって確保されているので実用上の不便/不安がない。また、熱効率の高いエンジンとハイブリッド技術によって、WLTCモード16.4km/Lの燃費を達成している。

エクリプスクロスPHEVは57.3km(WLTCモード)のEV航続距離をもつので、満充電すれば平均走行距離が少ない日本では日常レベルのほとんどのシーンはEV走行でまかなうことができる
エクリプスクロスPHEVは57.3km(WLTCモード)のEV航続距離をもつので、満充電すれば平均走行距離が少ない日本では日常レベルのほとんどのシーンはEV走行でまかなうことができる
撮影当日は編集部駐車場で一晩充電して、EVモードで51km走行可能であることをメーターが表示。都内の湾岸方面を経由して撮影しながらの実際のEV走行でぴったり50km程度走れた
撮影当日は編集部駐車場で一晩充電して、EVモードで51km走行可能であることをメーターが表示。都内の湾岸方面を経由して撮影しながらの実際のEV走行でぴったり50km程度走れた
お出かけ先のショッピングモールなどに設置されている充電スタンドなどを使えばさらに長い距離のEV走行も可能。CO2排出量を抑えられる
お出かけ先のショッピングモールなどに設置されている充電スタンドなどを使えばさらに長い距離のEV走行も可能。CO2排出量を抑えられる

 欧州環境機関発行のLCA検討基準をベースに、EU、日本、タイ、インドネシアの各国でCセグSUVのLCAを試算した結果が興味深い。

 CO2フリー電源に力を入れるEU圏では2030年あたりからEVの優位性がハッキリしてくるが、日本とタイでは2040年でもPHEVが優勢。インドネシアではなんと2035年時点でもエンジン車のほうがトータルではCO2排出量が少なく、2040年になってようやくPHEVがベストソリューションになるという計算結果が出ている。

 この試算が絶対的なものと言うつもりはないが、LCAで見たCO2排出量が地域によって大きく異なるのはまぎれもない事実。

 大手メディアのニュースソースは欧米主体だから、「これからはEVの時代」という報道ばかりが目につくが、世界はそんなに単純な原理で動いていないという点はしっかり認識しておくべきだと思う。

 いかがだろう。もちろん、EVにはEVならではのメリットがあるだろうし、年間5000kmも走らないようなライトユーザーなら、車重が軽く(車体部分の製造時CO2排出量が少ない)コストの安い軽で充分という考え方もある。

 しかし、同じセグメントの似たような車種で、EV、PHEV、HV、ICE(内燃機関)のLCAトータルCO2排出量を比べると、PHEVはなかなかバランスよく高得点を稼いでいるのが知られざる事実なのだ。

 いずれにせよ、クルマの電動化はどうやって電気を作るかという問題とセットで考える必要があり、国家単位でエネルギー政策を考えないとEVはそのポテンシャルを効果的に活用できない。CO2問題は、内燃機関をEVに置き換えればいいという単純な二元論に矮小化してはいけないと思う。

世界各国でエネルギー事情は異なっている。CセグSUVのLCAを試算した結果によると、EU圏ではEVが優位だが、再生エネルギーなどの割合が少ない日本などでは2040年でもPHEVが優勢といえる
世界各国でエネルギー事情は異なっている。CセグSUVのLCAを試算した結果によると、EU圏ではEVが優位だが、再生エネルギーなどの割合が少ない日本などでは2040年でもPHEVが優勢といえる

 さらに言えば、日本は2011年の東日本大震災で一時すべての原発が停止するなど、エネルギー問題でさまざまな試練を経ている。こうした災害時の経験をもとに、非常用電源として電動車を活用する試みが自治体や公共機関のネットワークを通じて広がっているが、ここでもPHEVの特性を活かした利用法が注目されている。

次ページは : ■V2Hなどの対応のためにエクリプスクロスは急速充電機能を備える

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