■まずは座学でお勉強
体験試乗をする前にまずは座学。実効空力とは何ぞや、ということなどについてホンダコレクションホール内の一室でレクチャーを受けた。ベストカーWebの塩川編集長がMC役となり、”ドリキン”として世界的な知名度を誇るモデューロ開発アドバイザーの土屋圭市氏、ホンダ純正アクセサリーアンバサダーの大津弘樹選手、ホンダアクセスからは山崎純平氏、OBになった今でもモデューロの魅力を伝え続けている福田正剛氏が参加者のお相手をしてくれた。
福田氏は現在は定年退職しているものの、2023年までモデューロ開発統括を務め、”実効空力の神様”と一目置かれる存在なのだ。一方山崎氏はシビックのスポイラーの開発者で、両名とも参加者の疑問に的確に答えてくれた。
実効空力のキモとなるのは、シェブロンと呼ばれる鋸歯形状のギザギザしたパーツで、実はこれは一辺3cmの正三角形が横に並んだもの。特別な形状でもないし、素材だって段ボールでもOKというから不思議だ。
流速が高い場所であれば、どこでも効果を体感できるが、最もその効果が大きく体感できるのはリアだという。クルマは走行中に空気を切り裂くように走る。そしてボンネット、フロントガラスを経由してルーフ上からボディラインに沿って空気は流れていくわけだが、リアエンド付近では空気の流れが乱れやすい。その乱れとはすなわち気流が渦のようになっている状態で、シェブロンを装着することによりその渦を小さく霧のように砕くことで気流が安定するという。
これは体感的な物だけでなく、リアに装着した加速度センサー、ステアリングの操舵量、車体の揺れなどをホンダアクセスでは実際に計測しているが、すべてにおいてシェブロン装着前に比べて良好なデータが得られているという。
一方大津選手は、「空力は100km/hでないと効果が出ないと思っていましたが、シェブロンを装着したN-BOXに乗ってビックリ。皆さんもその効果を実感してください」とコメントし、空力に関する価値観が変わったという。
■いざ自らが製作!!
今回の実効空力体感試乗のメインイベントは、自作のシェブロンを愛車に装着して走るというもの。ということで、座学の後は各自がシェブロンを製作した。
シェブロンの素材は発泡スチロールの上下を紙でコーティングしたポップ材などで使われているスチレンボード。1辺3cmの正三角形が10個並んだものを各自3個製作する。三角形はすでに描かれていたので、それに沿って切り出すだけだが、これがけっこう難しい、というよりも時間がかかる。
「三角形の頂点、重なる谷部分がキッチリとエッジが出ていないと効果が薄くなります」(福田氏談)の言葉にプレッシャーを受けて、参加者は一様に慎重に作業を進めていた。
製作時間として45分が用意されていたが、切り出してはホンダアクセスの技術者に見てもらうなどしていたため、その間に完成した人のほうが少ないくらいだったが、皆さん無事3本を作り終えた。
好みで用意されていたマーカーで着色することも可能で、ファミリーで参加していたY・Fさん一家は、お父さん、お母さんが切り出したシェブロンを子どもたちが着色。なんだか夏休みの工作課題を家族でやっているようでほのぼのとしていた。
これで午前中のプログラムが終了。あとは実走するのみ!!
コメント
コメントの使い方