ダイムラートラックのインド市場向けブランド「バーラトベンツ」は、このほど同国最新の排ガス規制・BS6フェーズ2に適合する新大型トラックを発売しました。従来モデルは、メルセデスベンツが設計したディーゼルエンジンを搭載していたのですが、この新型車では、米・カミンズが開発したエンジンを導入しています。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler India Commercial Vehicles(DICV)、フルロード編集部
カミンズで置換されるベンツエンジン
バーラトベンツ(「インドのベンツ」の意)は、ダイムラートラックがインド市場で展開しているブランドで、競合メーカーに対しては「ちょっと高くて品質と装備のいい商用車」というキャラクターを持つトラック・バス製品を供給しています。
そのトラック・バス製品は、すべてダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークルズ(DICV)というダイムラーの子会社で開発・生産しています。DICVは、三菱ふそうとともにダイムラーグループのアジア事業部門を構成していて、三菱ふそうの新興国向け専用モデルは、このDICVから世界各地へと輸出……という風に、意外に日本との縁も深かったりします。
バーラトベンツの大型トラック(商品名はなく単に「HDT」と表記される)は、インド市場や新興国市場の使用条件を考慮した頑丈かつ耐久信頼性の高い新開発シャシーに、メルセデスベンツの大型トラック(アクサー)に由来するキャビンとOM926型7.2リッター直6エンジン、9速マニュアルトランスミッションを搭載するという成り立ちのクルマで、11年前の2013年にデビューしました。
同社が8月23日に発売を開始したバーラトベンツ新型HDTでは、そのエンジンが、カミンズ製の「6D26」型へ変わることが最大の特徴です。
親会社のダイムラーは、2021年2月、中型クラスの排気量をもつディーゼルエンジンについては自社での開発・生産から撤退し、カミンズから調達することを発表しています。特にダイムラーは明言していませんが、バーラトベンツ新型HDTはその最初の製品例になるものと思われます。