ここでは今回の料金見直しに関する首都高の検討結果について触れていく。基本的には2016年の料金見直し以降の利用動向の振り返り。上限料金の値上がりにより首都高の利用方法が短距離型へ変わったことが明記されている
その根拠としてが書かれている。首都高の交通量、短距離利用は増加。ただ、都心を通過して郊外へ抜ける交通量が減少(約25%)したで長距離利用が減少。圏央道の延伸など、迂回路の完成も大きいのではないかと考察する。結果として交通量は増加傾向だが、平均トリップ長は減少傾向
利用車種別のまとめ。普通車:大型車の割合は首都圏料金導入(2016年4月)前後通じて9:1と変化なし。「軽・二輪」は増加傾向、「普通車」は減少傾向……少子高齢化が進み軽の保有率が増えている、また速達ビジネスに2輪が参入し、高速走行可能な2輪車が増加したこともあるのではないか?
時間帯による交通量のまとめ。渋滞状況に偏りが存在。交通量は昼間(6時~18時)7.0%増加、夜間(0時~4時)は6.3%減少。短距離化による昼間利用の増加、夜間は都心部通過の物流が減ったことによるものか?
首都圏料金導入後も交通量は増えてしまった。そのため昼間の渋滞は増加かつ慢性化してしまったようだ
大口・多頻度利用による利用状況。やはり物流を担う商業車両がメインを占めており、そのなかで4トン車といった中型車が増加した
上限距離制導入の振り返り。上限距離35.7km超を走行する利用者は、約13万4000台/日で全体の約14%だそうだ。現状は上限を超えれば、距離が延びるほど距離当たり単価が低くなる仕組み。首都高はこれを「不公平感」と呼ぶが……
損傷者負担の原則:利用者が道路を損傷しているから利用者が料金として負担すべきという原則。これまでの料金制度では上限距離(35.7km)を超える場合は、超えた部分が「無料」とも考えられるから損傷者負担の原則に合致しない……そうだ
朝、夕ピークの交通集中の傾向は、新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の提言後でも変わらず。一方、ピーク時間帯において、バスやタクシーが大幅に減少しているなか、乗用車が増加。生活リズムが変わったわけではないからある意味当然と言えば当然だ
距離別から対距離へと料金の変化に伴い、利用しやすい短トリップが増加した。 長トリップになるほど交通量に占める貨物輸送の割合が高くなる。時間に追われる貨物輸送では目的地へ最速で到着することも大事だからだ
新型コロナウイルスの影響による最も交通量の下がった4月第4週において、交通量約3割減だった。渋滞損失時間は約9割減(前年度比約1割)。そのいっぽうで交通量減少しても、交通集中する箇所においてでは依然として渋滞が発生してしまった
物流の世界も変革の時代に突入している。今後は省人化の切り札として隊列走行も本格化するし、今後首都高のありかたも変わってくるだろう。10年後の首都高の姿はどの様になっているのだろうか?(naka@Adobestock)