“国さん”が見守る中、土屋圭市氏にお話を伺った
「俺はあの人の舞台に行きたい。俺は高橋国光になる」その一心で峠を走り出し、レーシングドライバーになった
“ドリキン”土屋圭市の走りは、やはり同じようにテールをスライドさせながらコーナーを駆け抜けていた高橋国光の走りによるところが大きい。「『俺は高橋国光になる』と思ってましたから、それは走り方も同じです」
少年時代の際どいエピソードや高橋国光との出会いを、時に面白おかしく話してくれる。その速さと人柄は人脈を呼び、やがて憧れの高橋国光と同じチームで戦うことになる
「ずっと憧れてきた高橋国光と同じステアリングを握れる、これはもう緊張なんかしないですよ。嬉しくてしょうがない、それだけでした」少年時代の夢が叶った瞬間だった
「(高橋国光とのコンビで優勝した)オートポリスのことは嬉しくて記憶が飛んじゃってるんですけど(笑)、その前のSUGOは鮮明に覚えていますよ。国さんの、目と言葉と仕草、全部覚えている」まるで昨日の高橋国光を語るように目を輝かせる
高橋国光は、ル・マンという大舞台でのチェッカーを土屋に受けさせようとした。土屋は涙が止まらなかったという
高橋国光のお兄様から形見分けで戴いたという腕時計を前に涙を浮かべる
こんなドリキンは見たことがない。土屋圭市の中での高橋国光という存在の大きさがうかがえる
土屋圭市が受け継いだ、高橋国光が生前愛用していたロレックス。時計というのは時を刻むもの。高橋国光から土屋圭市へと時が受け継がれていくというのは実に象徴的だ
「ずっと国さんがつけているの見てましたからね。ル・マンの時もこれつけてましたよね。毎日磨いていますよ。神棚に置いて。生涯のお守りです」インタビューの最後は国さんを懐かしむ笑顔で締めくくられた
日本のモータースポーツは頼れる後輩たちに受け継がれ、これからも続いていく。国さん、お疲れさまでした。そして、ありがとうございました!!